淡雪に春告草【〆】

道真様……白梅です。只今参りました。（ 　襖開けるも顔半分だけ見せて　）女官の私には勿体無い賛辞の数々に恐縮です！（ 　意を決して入室果たすも恐れ多いのか、直ぐに隅っこで正座し　）あの！（ 　背すじビシッ　）私に対して気の利いた言い回しは勿体無いです。ですので、ありのままの道真様と文通したり物語を紡げたら幸いで御座います！（ 　瞳輝かせ　）わ、私も道真様の綴る文字は人目見ただけで心が踊り、安心します。（ 　頬は薄ら紅色へと変化させ　）──！？ い、色恋の方面はその……淡い期待くらいで。道真様とこうして話せるだけで私は感激ですし、女官としてではなく、白梅として接してもらえて……これ以上望んだら罰が当たりそうです。（ 　色恋発言になると恥ずかしそうにもぞもぞと動いて　）

まずはここまでご苦労様でした、白梅。こんな物しかありませんけど、良かったらどうぞ。（　色とりどりの落雁を出して　）て言うか何でそんな端にいるんですか。私に声を張らせる気ですか？（　来い来いと手招き　）感激ってそんな大袈裟な…別に言葉くらい、屋敷にいればいつでも交わせるでしょう。私が書庫に籠もっている日は別でしょうが。女官たる者慎ましくあるべきなんでしょうけど、お前の場合は謙虚過ぎて少し心配になります…（　溜め息を零しつつ　）白梅の方こそ肩肘張らずにありのまま、思った事を話してください。せっかくこうして部屋も用意した事ですし。（　部屋を手で示して　）
…あと色恋については鈍いなりに知恵を絞って色々と考えて来たんです。なのに今更撤回したり躊躇するなんて、そんなの絶対に許しませんから。（　気恥ずかしそうに視線を逸らしながら　／　きっぱり、　）それで、物語を書いて行くんでしたよね。（　誤魔化すよう咳払い　）特に希望が無ければ屋敷での生活を中心に綴り、その中で関係を発展させて行こうと思っているのですが…白梅はこの辺りの希望や取り入れてみたい展開なんかはありますか？（　じっ、と窺って　）

ではお言葉に甘えまして落雁、いただきます。（ 　桃色の落雁取ると一口齧って　／　もぐ　）す、すみません！道真様と二人きりになるとつい緊張してしまい……。（ 　隅っこから隣まで移動すると正座して座り　）慎ましく、謙虚……ありのまま。実は私！道真様が少し羨ましいです。ずっと書庫に籠って書物をたくさん読めたらどれだけ幸せか！なんて事を考えていたりしました。（ 　ずいっ　／　身を乗り出す勢いでずっと内に秘めていた願望を彼へ吐露して　）わ、わかりました！私も色恋などは鈍く、知識はあまりありませんが……頑張ります！（ 　きっぱり言われてしまうと後には引けず、胃を決して　）道真様と話せるだけで嬉しかったので、これと言って強い希望はなく。御屋敷での生活中心の方が心も落ち着くのでお願いします。（ 　ぺこり　）たまに私も道真様と一緒に書庫で書物を読んでも構いませんか？ 道真様のお傍にいる時が一番落ち着きまして。（ 　恥ずかしくて照れるも、はにかんで笑っており　）

書庫に籠りたいとは何とも白梅らしい…（　勢いに気圧されては若干身を退きつつ　）でしたらさわりはいつぞやの時のように私が何日も書庫に籠っており、そこを白梅が呼びに来る…と言ったところでどうでしょう。そこから二人して書を読み耽るのも良いですし、その辺りは白梅に任せます。物語を書き出すのはどちらからにしますか？（　墨と筆、紙を用意して　）鈍い？かつて『玉虫姫』の一端を担い、数多の男達を惑わせて来たお前が何を言っているんですか、経験ならば私よりもよっぽど積んでいるでしょう。むしろこちらが指南を仰ぎたいくらいですよ。それとも文の上ではなく生身の人間が相手だと勝手が違うと言うことですか？（　どこか興味深げに軽く顔を覗き込んで　）一緒に書物を…それは一向に構いませんが、私の傍にいて落ち着くなんて相当変わってますね。これでも愛想が悪い自覚はありますので。…ああ、それと大切な事を言い忘れていました。（　手をポン　）私は小説、心情、終止ロルなるものをよく使用します。これらについては苦手な者もいると思うので、もし白梅が苦手な物があればなるべく使わないようにしたいのですが…（　小首を傾け　）

それは良いですね！二人で読み始めたらいつの間にか日が暮れていそうです。（ 　くすくす　／　嬉しそうに瞳輝かせ　）えっと……書き出しは道真様からでも宜しいでしょうか？（ 　自信が無いのか申し訳なさそうに眉は下がり　）そ、それは……道真様。すみませんでした。恩返しがしたかったとはいえ、騙していたのには代わりがないですよね。（ 　土下座する勢いで頭垂れ　）業平様はその……私のような者も口説いてくるのでそれにはとても驚きました。……本物の色恋には恥ずかしながら免疫がなく、すぐに照れてしまいます。（ 　頭上げると顔を覗き込まれており距離が近いのもあるのか、恥ずかしそうに俯きつつ小声で　）私は落ち着きますよ！無愛想なのが私には良くて、業平様みたいに愛想が良かったらちょっと苦手です……。（ 　とある人物を想像すると口説かれた時の事が蘇り、苦手意識が強まり　）小説、心情、終止。ロル形体に苦手はありませんので、道真様がやりやすい様にお願いします！（ 　優しく微笑みかけ　）

笑い事ではありませんよ。もし本当にそんな事になれば、桂木に何を言われるかわかった物じゃない。（　とは言いつつどこか嬉しそうな声色で　）いえ、私は別に責めている訳では…顔を上げてください、白梅。（　ぎょっとしながら　／　慌てて手で制して　）あの人は本当に見境ないと言うか何と言うか…ただあの行動力や積極性は、私もいくらか見習うべきなのかもしれません。ああなりたいとは全く思いませんけど。（　ぽつり　）無愛想を褒め言葉として使う人は初めて見ましたよ。一応褒めてるんですよね？それ。（　自分から言い出した物の、無愛想と言い切られると少し複雑そうに　）にしても女人ならば誰しも業平殿のような方に憧れる物だと思っていたので、苦手と言うのは意外でした。（　ふむ、と思案顔で顎に手を当て　）
形式に苦手が無いのでしたら、好きな様に綴らせてもらいましょう。私から、でしたよね。最初ですので独白ばかり冗長になってしまうと思いますが。ロルを見てもし合わないと感じたら、遠慮せず教えてください。こればかりは互いの相性もあるでしょうし仕方の無い事ですから。（　穏やかに語りかけ　）では白梅、改めてよろしくお願いします。

その時は私の所為にしてください！私がわがままを言って道真様を日が暮れるまで付き合わせてしまったと。（　本気の勢いでじっと見つめ　）は、はい……道真様ありがとうございます！（　顔を上げると途端笑顔に変わり　）やはり女性なら関係なく、業平様はああやって口説こうとするのでしょうか？（　例のあの方の様な行動力と積極性のある姿を想像すると慌てて　）……道真様！？ 道真様は変わらず今のままでも十分魅力的ですから！ あ、でも……道真様はどうやって口説くのかちょっと気になりますね。（　ちらちら　）褒め言葉ですよ！無愛想の方が感情が滲み出ていて、人間らしいと個人的に思いました。（　笑顔で力説し　）業平様の様に愛想良く、誰にでも優しい殿方は苦手といいますか……上辺だけな気がしてその人の本音や感情が分からず、私は敬遠してしまいます。（　口説かれた時のことをイメージしながらその時に感じた本音を伝え　）わかりました！もしも私の文字形体や雰囲気を見て相性が合わないと感じましたら、こちらこそ遠慮せず教えてくださいね！（　ぺこり　）道真様の文、楽しみにお待ちしておりますね！

（暦が示すは弥生。吹く風は過ぎ去った冬の冷たさを未だ纏いながらも陽光は暖かく地を照らし、木に蓄えられた蕾が次々とその顔を覗かせては見る者に春の訪れを告げていた。そんな華やいだ空気からは完全に隔絶された場所、菅原邸の書倉には燭台に立てられた一筋の温もりを頼りに寝食を忘れ書に没頭する影がひとつ。──時折無性に書物に溺れたくなるのは、どうしようもない自分の性と言う物で。それを『勉強熱心』等と形容すれば聞こえは良いが、度が過ぎれば周囲に無用の心配を掛けてしまうと言う事も理解はしていた。だから切りの良い所で引き揚げるつもりではいた物の、どれほど知識を貪ろうとも根底にある渇きが止む事は無く。取り憑かれたかのように項を捲ること数刻、いや数日だろうか。この書を納める為に作られた空間に於いては如何ほどの時が過ぎたのかは見当もつかない。いっそ腹の虫でも鳴けば丁度良い合図になろうものを、生憎と自分の身体は一度何かに熱中すれば他の物事は受け付けなくなってしまうらしく空腹が湧き上がる気配も無い。屋敷の者達も自分のこの奇行にはとっくに慣れているだろうと終いに開き直ってしまえば、己が知的好奇心の向くままに新たに書を手に取り、広げ。そうした行動の積み重ねの結果、周りには読んでいる書物、読み終わった書物、そしてこれから読もうとしている書物とが入り乱れ、自分の周りを取り囲む小さな塀を形作るにまで至っていた。）




…好きなようにと言われたので、自由に綴ってみましたがどうでしょうか。文量の増減はどうとでもなりますから、それよりも文体や雰囲気を見て問題が無ければ返答を綴る形で…駄目だと思ったなら正直に言ってくださいね。白梅は私が相手だと気を遣って隠してしまいそうですから。（じっ、）

まだ約束の一週間まで時間がありますけど…ここまで音沙汰が無いとなるとまぁそう言う事なんでしょうね。色々あると思いますから理由は聞きませんよ。ただひとつだけ言わせてもらうなら、返事を心待ちにしていたのでこう言った結果に終わって少しだけ残念ではあります。

ですがこれが縁という物なんでしょう。私はその相手では無かっただけ。兎に角、ここまで付き合ってくれてありがとうございました。余計なお世話かもしれませんが、お前が今後良縁に恵まれる事を陰ながら祈っていますよ、白梅。

道真様、連絡もなく期限の一週間近く待たせてしまってすみません。
道真様からしたら全て言い訳にしか聞こえませんが、13日から急に立て込んでしまいサイトにアクセスすらできませんでした。今日やっと何とかひと段落がついてアクセスし、このお返事を見つけました。

きっともう、私の顔すら見たくないと思います。許して欲しい等言いませんが、もしも少しでもチャンスがありましたら再び道真様とお話がしたいです。

もちろん、もう無理でしたら潔く諦めますので。この度は道真様が私の返事を楽しみにしていたのにも関わらず、その気持ちを踏みにじる様な行為を……本当にすみませんでした。

…！来ていたのですね、白梅。この返事に気が付くのが遅くなってしまってすみません。事情は分かりました。取り敢えず、お前が無事で本当に良かった…。

実は私の方も19日から今日まで此処に来られない用があったので、約束の期日までは時間がありましたが早めに切り上げてしまいました。用を済ませている間、お前の事に気を取られてしまうと思って…私の中で区切りを付けた方が良いと思ってしまったんです。流石に横暴が過ぎました。謝るのは私の方でしょう。…白梅の苦労も知らず、嫌な想像をしてしまった私を許してください。

上の返事から数日経った今、白梅が今何を考えているのか分かりませんし、私自身も何が正しいのかよく分かっていません。ただ深く傷付けてしまった事は確かでしょうから、この返事は人目に付かぬ様出します。もしお前が此れを見つけて、それでもまだ私と言葉を交わしたいと願ってくれたのなら…私もまたお前と言葉を紡いで行きたい。運任せなんて私らしく無いですが、賭けようと思ったんです。

最後に。「私の顔すら見たくない」なんて…そんな事ある訳ないでしょう。むしろ焦がれる余りに急いてしまって、お前に負担を掛けてしまいましたね。我ながら不器用で本当に嫌になる。この返事を見つけてくれても、或いはそうでは無くても、私が白梅の事を想っている事に変わりはありません。この頃は流行り病に罹る者も多いですから、白梅も身体には気をつけて。どうか元気で。

……──道真様っ！？ まさかお返事をいただけると思っていなく、嬉しい気持ちと申し訳ないという気持ちが入り交じっております。
その節では大変失礼いたしました。

今回の事で道真様は何も悪く有りませんのでこれ以上謝らないでください。一言でもいいのであの時に伝えて居れば、と今になって悔いても遅いですよね。兎に角、道真様は潔白なのですから堂々としてください。私がこのような事を言えた義理では御座いませんが。

私は！傷ついてなどおりませぬ。寧ろ、道真様に対し恩を仇で返す様な不届き、許されるとは思っておらず、何と詫びたら良いか。本当に申し訳ございません。土下座しても私の心は晴れぬと思いますが、道真様のお気持ちに涙が止まりません。私のような無礼者が……もう一度道真様と言の葉を交わしても良いのですか？（ 　止まらぬ水滴手で拭っては顔面を両手覆い隠し　 ）私も、之は賭けだと。運にお任せしようと思います。道真様の眼に届くか、否か。最初で最後の賭けにします。

やめてください……道真様。嫌、とかではありませぬが……道真様が私に焦がれていたという事実に恥ずかしくなり、勿体無いお言葉の数々に恐縮でございます。無礼者の私が……道真様を想う事は赦されぬ行為。いっその事、嫌いになって欲しいと思っていても、心は道真様を求めてしまい。この疚しい気持ちを断ち切るにはどうしたら良いでしょうか。困らせてしまってごめんなさい。不器用なのは私も同じです。業平様のように器用に生きられたらどれだけ幸せな事か。
……──道真様。私もこの懺悔が奇跡的に道真様の眼に届いたとしても、そうで無くても道真様の事を何時までも想っている事に変わりはありませぬ。あなたにはのびのびと真っ直ぐにこの世を生きて欲しい。書物に夢中になるのは結構ですが、きちんと三食摂取してください。でないと私……怒りますからね。流行病の事もそうですが、道真様がこの世の中を健康に生きてくださる。それだけで私は幸せです。業平様より、誰よりも私は道真様の事を大切に想い、健勝とご多幸をお祈り申し上げます。


追伸
毎日流行病の報せを訊き、気が気ではありませぬが……白梅は毎日元気に一日一日を噛み締めて生きております。このお返事は道真様に対する気持ちに溢れていて恥ずかしく、人目につかぬようひっそりと想いを文にしたためました。

願掛けだのまじないだのの類は全く以って当てにしていないんですが、成る程偶には信じてみるのも悪く無い。現にこうして想いが通ったのですから。通うとは言っても一方通行かもしれませんが、今はもう少しだけ、言葉を続けさせてください。

どうしてお前はこうも卑屈なんでしょうね。お願いですから、不甲斐無い主の為にこれ以上袖を濡らすのは止めてください。全ては私の幼稚さと軽率さが招いた事、お前が謝らなければいけない道理なんて何処にもありませんよ。白梅には私を詰る権利がありますし、私にはそれを甘受する義務がある。お前が何と言おうがそう言う物なんです。

…''焦がれる''などと安直に著してしまいましたが、果たして此の表現で正しかったのかは未だ解かりません。唯一つ確かなのは、書に触れる間も外へ出て地を踏み締める間も、眠りへと吸い込まれるふとした瞬間でさえもお前の事を思い出してしまうという事だけ。感情の機微についてはきっと白梅の方が詳しいでしょうから、この感情こそが''焦がれる''と言う物なのか、私に教えてください。そして此れをどうしたら良いのかも。
気持ちを断つ術なら私の方が知りたいくらいです。本当に厄介で煩わしくて鬱陶しい。けれども手放してしまえば最後、後悔するのは目に見えていますから、いつ何時千切れるかも知れない儚い繋がりをこうして恐る恐る手繰り寄せるしかありません。断ち切れないのならばいっそ結んでしまえば良いと考えてしまうのは、私の独り善がりでしょうか。

「伸び伸びと、真っ直ぐに」…これほどまでに私に似つかわしく無い言葉はないと思いますよ、白梅。近頃はこの物思いの所為で食事も碌に喉を通らないと言えば、お前は怒るのでしょうか、それとも嘆いてくれるのでしょうか。何方にしてもそれがお前の言葉ならばと欲してしまう私は、流行り病に罹らずとも既に何処かしら可笑しくなっているのかもしれません。


此処まで感情に任せて綴っているうちに恐ろしい量になってしまいましたが、自分の狭量さが言葉の端端に滲み出ていて読み返すのが躊躇われます。書き損じがあったら申し訳ないと、今の内に謝っておきましょう。慣れた者なら風流な物言いでも出来たのでしょうが、頭の固い私は無作法に言葉を重ねる事しか出来ません。本来先の返信だけで満足すべきなのでしょうが、この遣り場のない青い感情を、一縷の望みと共に此処にそっと置いておきます。

………いやこれそっと置けてないじゃないですか。こんな見苦しい文章、人目に晒すつもり無かったんですけど…（　眉間ばし、　）

一方通行ではありませんよ！道真様から続けてこうやって文をいただき、筆が以前に比べ滑らかに動き楽しい文になりました。

ごめんなさい……道真様に嫌われたくないという気持ちが強く、卑屈になってしまい。疚しい気持ちは変わらず、今無性に道真様が恋しいです。こんな気持ちは初めてでして……戸惑っています。恋焦がれるとはこの様な気持ちなのでしょうか。道真様の元気な姿を見られただけで安心していたり、嫌われていないとわかった途端に気持ちが溢れてしまい。

あの、道真様。私も同じ気持ちです。之が恋なのだとしたら、先程もお伝えしましたがきっと……恋焦がれているのかも知れません。私も気を緩めると常に道真様の事が頭から離れず。自惚れでなければきっと……道真様と私は同じ想いかもしれません。今凄く、道真様に触れたいです……ごめんなさい、直ぐに離れますのでお許しを。（　申し訳なさそうに正面よりそっと優しく抱き寄せ、躊躇いがちに背中へ両手伸ばしやんわりと触れ　）道真様の体温、安心します。

断ち切れないのならばいっそ結んでしまう……清々しい気持ちになりました。
あの、それは独り善がりでもありませんよ！今、道真様はどんな気持ちか私には解りませんが……私と同じ気持ちだったら良いな、と密かに想ってしまい。落ち着かずにそわそわしたりとこの煩悩を取り払わないと駄目ですよね。

そんなに似つかわしく無かったでしょうか？書物に夢中になっている時の道真様は、何者にも囚われず伸び伸びしているではないですか！恥ずかしさもあって非常に申し上げにくいのですが、その物思いは多分恋煩い……かも知れません。そうであって欲しいと思っておりますが、世の中そんな上手くいきませんよね。私は道真様の事を考えると胸が締め付けられる様な痛みがあります。道真様はその……胸が締め付けられる様な痛みなど、胸が痛むような感じはありますか？ 喉が通らないのでしたら、私が道真様の分もたくさん食べますので。それとも胃に優しいお粥など私がおつくりましょうか？ 少しでも何か食べて欲しいので。

かく言う私も何と言いますか……道真様に対する気持ちが再び溢れ、私の想いはきっと道真様に気付かれてしまっていると思いますので素直になろうと決めました。私の言葉の端々から道真様へ対する私の想いなど、直接的に言わずともほぼ伝えてしまっていたりと今更ながら恥ずかしさで押し潰されそうです。これこそ道真様以外の人の目に触れぬようそっと内密に。今の私は他の方がみたらかなり可笑しいかもしれません。恋に現を抜かすなど私にはずっと無縁でしたが、道真様と出会ってから変わってしまったのかもしれません。ひとりの男性として……嗚呼、私は何を道真様に伝えているのでしょうか！？ えっと兎に角、今の私は道真様に夢中という事は言えます。この最早恋文になりつつある文を道真様の眼に触れて欲しいと思いつつも、恥ずかしさから見られたくない。これ以上綴っていたら気持ちが爆発してしまいそうなので、強制的に終わらせる事にしました。纏まりのない拙い文で申し訳ございません。もはや之を文と言えるかわかりませんが。



追伸
急に抱擁してしまい、すみませんでした。道真様の肌の温もりは私を簡単に堕落させてしまうことが判明。……もっと触れていたい、など想ってしまった疚しい私はどうかしていますよね。

道真様は異性とその……せ、接吻の経験はございますか？ごめんなさい！追伸で書く内容ではございませんでした！接吻の件は忘れてくださいませ！

あの日からお返事は無し。其れが道真様の今のお気持ちだと判断致しました。
私が何を言ってももう、貴方に伝わる事はないのだと……残念ですが其れが現実という事で全て受け止めます。


少しの間でも道真様と会話ができて楽しく、嬉しかったです。あまり長く残すと未練がましいと思われてしまいそうなので、手短に終わらせます。


巷で猛威をふるう流行病には十分気を付けて毎日お過ごしください。白梅は毎日元気です。