神話のような/〆

(深呼吸を繰り返しながら、落ち着け、と頭の中で繰り返す。戦うことがあんなに怖いなんて知らなかったし、知りたくもなかった。今すぐ全て放り出して、安全な養成所の自室にこもって本を読み続けたい衝動に駆られる。
しかし後ろを歩いている男性は、そう酷くはないが負傷している。ほぼ手ぶらみたいだし、大きな病院もないここでああいうのにまた襲われてしまったとしたら、どうなるだろう。今私が見捨てて手当していなかったことが致命傷に繋がるかもしれないという悪い想像が拭えない。変なところで想像たくましくなるのも悪い癖だった、考えたって仕方ないし、ちょっと消毒したくらいじゃ何も変わらないだろうに、歯噛みする。
しかし黙って歩いていると不安は増幅する。たとえば、先ほどの気持ち悪いのがおばあちゃんや村の人を襲ったらどうなる。抵抗する手段もなく、さっくりやられてしまうのだろうか、怖い。そも、何匹いるかもわからない。いっぱいいるかも。坩堝にはまった思考を振り払うように首を振って、軽く振り返る。名前を聞きたかった。
銃器とかが明らかにその辺で売ってるものじゃないし、身のこなしもプロなので名乗ってはならない何者なのかも、と身構えつつ問いかける)
あの、私パトリシア……、パトリシア・イーヴンと言います。貴方の名前、は、……聞いてもいいですか？

(/改めてよろしくお願いいたします！！何かございましたら遠慮なくご指摘、質問くださいませ！)