2020-02-25 07:21:09 |
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( 夜の深まる頃にこの日の最終上映を終え、観客が立ち去ってしまえばシアタールームには静寂だけが冷たく残り、床板と靴底が擦れる乾いた音がやけに響く。数少ない他のスタッフたちは既に帰宅し、館内の清掃を請負うという名目で自分一人が居残ったわけだが、実際清掃に取り組むつもりなど更々無い。中央辺りの座席へ靴を脱ぎ胡座をかいて座ると、鞄から一冊のノートを取り出してぱらばらと頁を捲る。書きかけの自作映画脚本、最後の筆跡は三ヶ月以上も前のもので、充分過ぎるほど寝かせてしまったそれを今更引っ張り出した理由は、つい先程まで上映していた作品にある。半世紀以上も過去の某元祖ロマンスコメディ、愛すべき不朽の名作は忘れかけていた夢を思い出すのには充分。鉄は熱いうちにと帰宅する時間さえ惜しんで再びペンを握ったものの、しかし都合良くアイデアまで降ってくるなんて事は無く、一文字も書き出せないまま時間だけが過ぎていく。無意識に噛んだペン尻を咥えたままぼうっと白い銀幕を眺めいたが、やがて深く溜息を吐き )
はー……くそ。駄目だ駄目だ、こんな調子じゃ百年掛かったって終わりやしねえ。…一体何が足りないって言うんだよ。才能?運…、忍耐?…いや経験か……ああもう嫌になる、結局全部だ。
(/勿体無いお言葉と初回ロルについてのご快諾、ありがとうございます!上記にて早速始めさせていただきました。最初なので少々冗長で説明っぽい文章になってしまいましたが、徐々に簡潔にしていく予定ですので多目に見ていただけると幸いです…。また描写が少し分かりづらいのですが、ナタリーさんがお好きとのことでしたので、折角なのでこの日の最終上映作品は「ローマの休日」ということにしてしまいました。ナタリーさんの登場シーン予告が可愛らしすぎて出会いが待ち遠しいです…!絡みづらければロルを改めますので、ご遠慮なくお申し付け下さいね。)
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