匿名さん 2020-02-24 14:58:26 |
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( 膝を付き視線を下げてしまったことで彼の顔が見えなくなれば、やはり見間違いだったのだろうと思ってしまう。無様にも動揺を隠しきれなかった自分とは裏腹に、聖者さまの告げる祝福の声は至って平坦で長剣を肩に添える動作にも危なっかしさは感じられない。そこに学生時代に一緒に馬鹿をした友人の姿はどうにも重ならず、下を向いている限りはどうにか自分自身も平静を保っていられそうだった。
とはいえ儀式が終われば顔を上げないわけにはいくまい。幸いにも聖者さまの言葉で早々にその場に居合わせた立会人たちは退室を始めたようだ。騎士の多少の挙動不審は緊張とでも捉えられているのだろう、誰かからとやかく言われることがない様子に一先ずの安心を。誰にも気取られぬように小さく嘆息を吐き出しつつ立ち上がり、改めて彼の姿を視界に映した。
記憶にある友人の姿をしているが、表情も言葉遣いも立ち振る舞いも、どれを取っても過去とは乖離しているように感じられる。かの友人であれば久々の再会とあればさぞ騒がしくなるだろうに、そんな騒がしさとは無縁の様相にどうも調子が狂ってしまう。――やはり、同姓同名の別人か。それとも記憶でも失って別人のようにでもなってしまったのか。どれほど考えたって本人そのものだという確証に至らない、釈然としない気持ちが顔にも浮かんでしまっているだろう。だからこそ彼からの場を移すという申し出は有難く、“は。”と小さく敬礼をしつつ応えれば祭壇の奥の小部屋へと )
――――ラテール・クロームハルト、だよな?
( 移動して早々にきょろきょろと周囲に人の気配がないことを確認し、それでも小声で真っ先に口を付いて出たのは彼の名前。いや、彼の名前がラテール・クロームハルトであることは事前の調べからも明確だ。聞きたいのは彼の名前自体ではない。“俺の友人の”という意味と言外に込めた確認に、彼はどうでるだろうかと様子を窺って )
(/短くなるかもしれないといいながら、ついつい長く…!ロルに関しては勿論問題ございません!
こちらも気になることができれば顔を出すことになろうかと思います。一先ず背後は引かせて頂きますが、何かございましたらお声掛けくださいませ…!)
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