青年 2020-02-05 08:06:34 |
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(無機質で頑丈な玄関の扉へと続く階段を前に一度歩みを止め、生まれ育った場所の筈が息が詰まる様な居心地の悪さを覚える邸を見上げて、一つ溜め息。背後に控える二人の付き人が横抱きにする水を運ぶために作られた大がかりな水袋には、先程の夜会で開かれたオークションで競り落とした人物ーーではなく人魚が入れられており、彼を早く広い場所へと思うと意を決して前向き直り邸の中へと歩みを進め)
戻った。ー…それは、自室へ運んでくれ。
(ホールには使用人らが待ち構えており一声かけて自室へと戻ろうとした矢先に母親が現れ、一瞬苦虫を潰した顔になるも平静を装いうと付き人へと人魚の件を申し付け。「お母様、今戻りました。あぁ、アレですか?人魚、とやらです。ー…いや、観賞の為に手に入れただけですから。ええ、飽きたら処分しますよ。」適当にあしらえばもう休むと足早に自室へ向かい)
御苦労。もう下がって良い。
(人払いをかければ部屋の中央には一足先に運ばれた人魚が無造作に置かれているのが目に入り、人が入れる程の水槽など持ち合わせもなくどうしたものかと顎に手をやりながら袋の側へ。水袋の結びを解こうと手を伸ばして開けると、恐る恐る中を覗き込み)
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