Statice / 〆

…あ、あの。そんなに強く叩いては中身が…。
それに、もしかしてこの沢山のプレゼントは私に、ですか？
（会いたかったと嘘偽りのない気持ちを伝えれば優しく梳くように髪を撫でられながら笑って頷かれてほっとしたように安堵の表情をし、だが相手が何かに気づいたように振り向いたので何事だろうかと不思議そうに相手の行動を見ていればバシバシと相手が持ってきた荷物の埃や汚れをとろうと叩いているようだが、ただでさえ身長に見合い鍛え上げられた体から繰り出される力は相当な物だろうと思わず心配そうな表情と声色で声を掛けるものの、相手が持ってきた荷物はどれもこれも贈答用に綺麗にラッピングされたものばかりでもしかしたら己へのプレゼントではないかと思いながら言葉を紡ぐが、一番に目を奪われるのは灰色の毛並みに黄色のガラス玉の目をした可愛くて美しい大きな熊のぬいぐるみでありぬいぐるみをじっと見ていれば、再度己の方へと向き直り彫りの深い顔で屈託なく笑いながら差し出されたのは相手が持つとそこまでの大きさがない様に見えるが明らかに両手で抱えなければいけないくらい大きく綺麗な薔薇の花束で、相手が紡ぐ言葉の節々に相手が女性経験が豊富だということが察せられてモヤっと過去の女性たちに抱く醜い嫉妬心で気持ちが支配しそうになるが相手の己を見る目が愛おしさを感じさせるような眼差しに気づけば、いとも簡単に黒いモヤモヤは何処かへと消え失せふわりと柔らかい表情で微笑みを浮かべながら花束を受け取ろうと相手の方へと手を伸ばして）
大丈夫ですよ。薔薇の世話をするのは大変だと聞きますが、花の世話をするのも好きですから。
ですから、半分頂けますか？