Ring of Overload【ハイ・ファンタジー/一部性別、人数制限あり/途中参加歓迎/一部グロあり】

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主  2019-11-30 14:32:48 
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 ポタリ、ポタリと赤い滴がきらびやかな絨毯を染め上げていく。苦しげな呼吸音。膝を折り、片腕で倒れそうになる体を支え、もう片方は貫かれた腹部を抑えていた。しかし、溢れ出す赤い液体は止まることを知らない。恨めしげに睨みつける男の口からは一筋の赤いものが流れていた。体を支えている手の指には獅子を象った指輪が鈍く煌めいている。


 男は腹部からの激痛を堪えるように荒い呼吸を繰り返し、滴り落ちる血の量から反撃をする力すら奪われていた。しきりに男が睨むその先には、冷ややかな視線を送る人影。触れれば折れてしまいそうなほどに細い体躯をし、太股まである長い髪は燃えるように赤く、癖が強い。睨む男を見下ろすその双眸は、まるで宝石のように透き通った翡翠の色。感情の見えない瞳の女の左腕は、見事に肘から下が赤く染まり、指先から滴を滴らせていた。


『な、なぜ……だ……っ。リサラっ……』


 男には理解できなかった。自分が置かれている状況を。目の前に立つ女は、つい今しがたまで男の傍を離れず従っていた。しかし、男は女の手によって致命傷と言っても過言ではないほどの深手を負っている。止血をしなければ、確実に待っているのは『死』だ。男の死へのカウントダウンは始まりつつある。


『もう一度、問う……っ。なぜ、だ!』


 いつまでも返答をしない女に、男は声を張り上げた。激痛と出血で意識が朦朧としていくなか、それでも微動だにしない女に答えを望む。どうしてこうなったのか。なにか理由があるに違いないと、裏切りを見せた女をそれでも信じようとしていた。


『まるで私が貴方を裏切ったかのような言い回しだね』


 女は淡々と口にする。ゆっくりと男に近づいて視線を合わすようにしゃがみこんだ。そうして首を傾げると不可解そうな表情を浮かべる。


『おかしいな。裏切ったのは私ではなく、貴方自身ではないか。私は貴方に力を与え、そして望む地位も与えた。なのに、貴方は道を示すことを怠った。非があるとするならば、貴方自身だ。これは自業自得というものだよ』


 女の細く白い指先が、スッと男の手に伸びる。女が触れたのは男のもつ獅子を象った指輪だ。


『だから返してもらうことにした。残念だけど、これが私の意思だよ』


 そう口にすると女は、スルリと男の指から指輪を抜き取った。瞬間、男の身体が不自然に発火し、あっという間にその炎は男を包む。悲鳴をあげることができても、のたうち回る体力を持たぬ男は、そのまま身体を折るように絶命した。その光景を感情のない瞳で見つめていた女は、興味を無くしたかのように抜き取った指輪を自身の細い指に通す。


『やはり人間には過ぎた代物のようだ』


 女は指輪に軽く口づけをして、手を翳した。窓から差し込む陽の光に照らされて、指輪がキラリと煌めく。くすみがかった指輪は、価値の知らぬ者が見れば単なるガラクタだ。それでも欲する者が存在する限り、この指輪に価値はあるのだろう。翳した手を戻すと女は、何事もなかったようにその場から姿を消した。男の焼死体を残したまま……。




※こちらは前に建てていたものを一部修正を加えた再建となります。

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  • No.2 by 主  2019-11-30 17:24:01 

『世界観』
剣と機械技術、そして精霊の加護によってもたらされる魔法の世界ファントム。幾つかの大陸と諸島によって構成された自然豊かな世界。自然は精霊の加護によって維持され、精霊もまたあらゆる生き物の生命力(マナ)を糧に存在する。生き物と精霊は、強き繋がりを持つ。


『トピ趣旨(あらすじ)』
世界で真しやかに囁かれている言い伝え。それは【覇王の指輪】を手にすることができたら、なんでも願いが叶うだけでなく、最強たる力を得ることができるというもの。野心の塊の者は我先にと【覇王の指輪】を欲し、人生を棒に振ってきている。しかし、それでも実際に手にした者も存在していたことから、言い伝えではなく秘宝という名でその噂は広がっていった。
だが、人は言う。【覇王の指輪】を手にした者は必ず悲惨な死を迎えると。それは手にした者すべてが、謎の死を迎えてきたからである。
なぜ死が確定していると分かっていても【覇王の指輪】を手にしたいのか、それは誰にも分からない。


『魔法』
別名、自然干渉術とも呼ばれる技術。潜在的に備わっている魔力とマナを捧げて精霊に力を貸してもらうことで使用が可能。魔力が高ければ高いほど高位精霊の加護を受けられるが、一般的に魔法自体が高度技術であり、素養がなければ暴発または精霊によって殺される恐れがある。ゆえに、魔法使いは知識と技術を学び資格を得たものでなければ扱いを禁止している国が多い。


『覇王の指輪』
あらすじにも説明したように、手にした者に力を与え望みを叶えるとされる最強の秘宝。しかし、その反面自らの命と引き換えになるという曰く付きでもある。それ以外の情報はなく、ただ手にした者の横には老若男女さまざまな従者が立っているという。


『白薔薇の指輪と黒薔薇の指輪』
互いに対となる指輪。覇王の指輪ほどの力はないが、手にした者に地位と名誉を与えるとされている。また覇王の指輪の持ち主に対して絶対的な服従を強いられる。



『覇王と呼ばれる存在』
覇王の指輪に宿る意思であり、指輪そのもの。それに名は存在せず、持ち主によって名を与えられて、力を貸す。その姿は持ち主のイメージに合わせたものであり、本来の姿は誰にも分からない。目的は不明だが、指輪が持ち主に対して【資格】がないと判断したときは、容赦なく持ち主を殺す非道さを持つ。


『白薔薇姫と黒薔薇姫と呼ばれる存在』
白薔薇の指輪、黒薔薇の指輪に宿る意思であり、指輪そのもの。覇王を絶対の主君としており、仇なす者には容赦しない。持ち主の意思よりも覇王に対する忠誠を優先にする。また、覇王を止めることができる唯一の存在でもある。その姿は双子のように似た顔と容姿しており、違いは白か黒かである。覇王と同様彼女たちにも名はなく、持ち主によってつけられる。



『機城都市ヴェルガモ』
機械技術に特化した国。コンクリートや鉄を土台とした建物が多く、自然は少ない上に物々しい雰囲気を醸し出している。技術者や科学者などといった専門的な知識を持つ者が多く住んでおり、また仕事をしている。頭の堅いのが特徴で融通は利かない。戦闘兵器や機械兵器を量産しているのもこちらである。


『緑葉の国スティンバル』
自然豊かな山々や森林に囲まれた国。農作物や発掘できる鉱物を資産にしている。自然と隣り合わせのため、精霊の加護は他国を凌ぐといわれている。また資格を持たずとも魔法を扱える厄介な者が多く住んでいる。ゆえに、昔からヴェルガモとは折り合いが悪く、度々二国間戦争が勃発しており、歴史にも残るほど。


『学城都市ワイルド』
学問の都市として名高い国。魔法使いの資格を得るための学術部門が設置され、他にも国を治めるための帝王学などを学ぶ学校も存在する。規律に守られた国ではあるが、現在国王は不在である。次代の王を選定中とのこと。

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