Tranquilizer　

(何で何でと子供の様に泣く貴方に、別れたい本当の理由を言ったらどうなるのだろう？ショックで涙が止まるのかな。それとも更に泣いてしまうのかな。ただでさえ体中の水分が出ていってしまうほど涙を流しているのに、それ以上なんて想像だに出来ない。もしかすると泣き疲れて寝てしまうかもね。糸が切れた人形の様にぱたんと倒れる姿を想像して、それが何だかしっくりきたから思わずふふふと笑いが零れてしまい、それを拾った貴方は吃驚して目を丸くする。どうして？と悲しいが混ぜこぜになっている不思議な二色使いの瞳が一直線に私を射貫くから、逸らしも閉じも出来ないまま、じーっとその素敵な両目を見つめ返して。長い睫毛に急かされて頬を滑り落ちていった雫を最後に、滝の様に流れていた涙はもう目に浮かんでさえいなかった。あまりにも吃驚して止まっちゃったのかな。飴玉の様な目は不安と期待に揺れているのに、私の腕を掴む手は頑として力を弱めなかった。別れたくないと、色の悪い唇が言葉を模っていくのを、他人事のようにぼうっと眺める。突然別れを切り出した挙句真剣な別れ話の最中に笑う女なんて、他の何がどれだけ良くても人として致命的に悪いというのに。彼はまだそんなものを好きでいるという。私たちの間にあるのは純粋な好意だけ、雛鳥が初めて見たものを親だと思うのと一緒の刷り込みが起きているなんて微塵も考えていないんだ。ああ、つくづく可哀想な人だな。とひっそり同情しながら、突然別れ話を切り出したことへの贖罪としてその可愛い懇願を受け入れることにした。でも本当の理由は秘密のままにしておくの。貴方の泣き顔が見たかっただけなんて、言えないからね。)



り！は！び！り！
一切合切を気にしないでいい壁打ち最高大好き
彼氏はじゅーし君イメージ