□ 2019-11-22 20:38:24 |
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「んへへ…お揃い!髪も目もお揃いだから貴方も私達の妹になってもいいんだよ」
(兄はこの髪も目も醜いと言わず褒めてくれる、何気なく告げられるその言葉はふわふわと心に降り注ぎなんとも擽ったいが素直に受け止めふにゃりと頬を綻ばせ手に抱く小動物を数度撫でてやれば忙しなく動く鼻先はなんとも愛おしく隣の彼にもお裾分けとして撫でさせてやり。朝から出会った可愛らしい新しき家族に先程まで感じていた凍える寒さも、もう何処かに吹き飛んでしまった。朝の日課である神への祈りもこの子を連れていくと元気な軽い足取りで兄より一足先に祈りの場へ向かって重々しい扉を開くと外とは違うひんやりとした空気に神聖なその場へと足を踏み入れる、「…貴方もお祈りするのよ、」と鎮座した席の横に白兎を座らせてやればいつも通りの小さな指先を絡め信仰する美しき女神の象に向け瞼を閉じた。だが、密かに聞こえる何者かの声小さく囁くような…そんな微々たるものだが小さな彼女はそっと目を開け周りを見渡すと「…ひっ!?女神様の、か…顔が!!」慈悲深い頬笑みを浮かべていた筈のその瞳から流される赤い雫、憤怒を表した睨みつける瞳は石像が出来るはずのない歪んだ表情で『 穢ラワシイ、呪ワレシ器』と確かに、確かにそこからは声は発せられている。背筋にぞくりとした感覚、額に垂れる冷や汗を拭うことなく地面に座り込めば混乱した頭で耳を塞いだ。「違うの違うのよ、私は汚れてなんて無い穢れてなんて無いってばっ!なんでどうして私ばかり…、」困惑と混乱、強く発せられる声に小動物はその場から勢い良く逃げ出した。「…酷い、憎い。」と冷たく最後に絞られた声色に思い浮かべる絶望の淵に大好きな兄の姿だけを思い浮かべ、己の唇を強く噛み締める。)
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