□ 2019-11-22 20:38:24 |
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「…熱くて苦しい夢。でもね、もう大丈夫!お兄ちゃんを抱きしめてたから私怖くなんてなかったよ、」
(まだ眠気を含む優しい声色は少し寒い空気を伝い鼓膜へと振動していく。大丈夫、生きてる、死ぬ道理さへない兄だ自身を置いていきやしないこれ以上心配をかけまいと普段通りの表情でお早う、と溌剌に告げれば背中をさする手つきにほっと胸をなで下ろし外へと誘われると笑顔で頷いてまだ雪の溶けきらない寒い外へと飛び出した。零れる光を降り積もった雪の結晶が反射してか寝起きの視界にはまだ厳しかったようで「…ひゃうっ!」小さく反射していくそれに耐えきれず両目を掌で抑え込むと兄の背中に突進していく。目の前に広がる銀世界はなんとも幻想的であの夜に見た雪景色とは一転してとても暖かな物に感じるのはきっと隣に大好きな存在が居てくれるから、思い出すとマイナスな思考ばかり出てきそうになる頭を左右に降ると気を取り直して冷たい水を貼った井戸近くへと移動して顔を洗い大きな瞳は完璧に目を覚ましたようで、水滴の垂れる髪を払い除けると足元にて動く何か「…ん、あ!お兄ちゃんみて、白いうさぎさん。」赤い瞳と白い毛並みはどこか似た節を感じるが愛くるしい小動物を勢いよく抱き上げると逃げ出すことも無く大人しく腕に抱かれるそれを見てと言わんばかりに笑顔を向けて両者ともお揃いと見える赤い瞳を見合わせた。)
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