□ 2019-11-22 20:38:24 |
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────この世界は残酷だった。
(長く苦しい悪夢に眠っていた脳は覚醒する。大きく開かれた眼に額に伝う汗は長い時間眠っていたことにより朧気な意識を呼び起こし後味の悪い余韻を残していた。寒い雪に這いつくばった感触を侮辱する様に隣に眠る兄の胸元へと顔を疼くめて、隙間風だろうか耳を掠める細い音に眠くもない目を一生懸命に閉じ朝日が昇り始めるまだ早い時間帯。大好きな兄を起こさぬようにと身動ぎは最低限に、互いに潜り込んでいるタオルケットの裾を掴む。自身の体を包み込む兄の体温だけが心細いこの感情を拭い取ってくれているのだろう、ふと現れ始めた睡魔は再び自身をあの悪夢に引きずり下ろそうとでもしているのだろうか。…もう眠りたくない、窓の外から聴こえる鳥のさえずりに眠気を追い出そうと身を起こし隣の彼を優しく揺り動かすと、「起きて、起きて…お兄ちゃん。」と夢へと旅立っている彼を懸命に呼び出して。)
(/これにて物語は始まります。最初となりなかなか文字の数が少なくなってしまいましたが、お互い楽しくしていければと思います。宜しく御願い致します、)
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