碧棺左馬刻 2019-11-14 07:21:36 |
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「…ええ、まあ…すんなり帰してもらえると思ってましたが、その様子じゃ駄目…みたいですね…。」
(二人きりになってしまった。伏せがちな瞳を上げれば再び赤い瞳と視線が合ってしまう。冷たく鋭い視線に晒されて、自分は先程の人のように存在を消されてしまうのだという考えがよぎり、恐怖で頭が真っ白になる。まさかこんな事になってしまうとは…自分の愚かな好奇心を恨めしく思ったところでもう遅い。彼の言動から察するにそういったスジの人に違いない。あれだけの屈強そうな男達を顎で使うのだから立場も相当なもの…相当な悪い奴に目をつけられてしまったらしいことは分かった。だからといって、この危機的状況から逃れる術はない。営業で身につけた交渉力は多少なりあるが、それはごく一般の商売人に対してであり今目の前にいる相手と平和的解決をする手段は持ち合わせてはいない。そんな事を考えていると、突如体が持ち上がり同時に僅かに感じる息苦しさに自然と微かに眉根が寄る。彼と壁に挟まれ完全に逃げ場を失い、恐怖と絶望で表情が歪む。君が誰だかも知らないし正直なところ知りたくもないのが本音だが、代償さえ支払ってしまえばこの状況から解放されるという僅かな希望に、相手の気が変わらない様にと大人しく身を預けながら「代償…ですか?俺に出来ることでしたら何でもします…」と瞳に怯えた色を浮かべながら力なく言葉発して)
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