その主、暴君につき。【〆】

... ふーん 。
(　安心仕切った様子の彼が自分が手を掴んだことで 、あからさまに肝が冷えていく様を一部始終見つめていた 。彼の感情にここまで干渉出来るのは自分くらいなのでは 、そう思うと何とも言えない快感だ 。そんなことを考えながら 、一向に合わない視線に言葉を待った 。すると 、返って来た言葉にあからさまに顔を顰めてみせ 、いつもの作り上げられたような声とは違う 、地から這うような声が出る 。掴んだ手を掴む力が先程よりぐっ 、と無意識に強まった 。次の瞬間それをぐぃ 、と強引に引っ張り 、顔と顔の距離を無理矢理 近めた 。そして 、彼らしくない 、お世辞にも賢い 、とは言えない言葉に 、わざとらしいほどゆったりしたトーンで話した 。 ) そう 、僕から逃げようと 、ねぇ 。(　口角だけは上がっているが 、歪んだ今にも崩れそうな笑顔であった 。 )