とくめい 2019-09-25 09:21:08 |
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燭台切:
僕の方が、だよ。この本丸にいる、……主は、一人だけなんだから。
( 背後から小さく聞こえる復唱が耳に痛い。嫉妬と称するのも言い得て妙だ。他の刀剣を信用していないわけではないが、誰も彼も真名を握ってしまえばいつでも人の子など隠してしまえる。それを考えると少女への憐れみではなく、刀剣に対しての嫉みが先行するのだから自分が分からない。小さく肩を叩かれ其方を振り向くと、柔らかく笑みを浮かべる彼女の姿。呆気なく毒を抜かれてしまえば、苦笑を一つ返した後に華奢なその肩へと腕を回し、膝立ちの不安定な姿勢をとんと強めに押して重心を後方へとずらし。傷付かないよう支えながらその場へと横たえ、覆い被さるように見下ろしながらその白い頬を撫でる。女性を、主と言い換えたことはまだ秘密だ。)
霖:
……そう、なの?
じゃあ、…女の子として、異性として、見てるの?
( 肌を掠めるやや冷たい空気が暖かな布団が重なり、緩く身体の力を抜いて。此方を向いて横たわる彼に抱き寄せられるように背中に腕を回され、ぴたりと身体が密着し。掛けられた言葉に何度か瞬きを返し、純粋に疑問に感じたことを口に出し。確かに自分は体付きも特別女性らしいわけでもないし、容姿に優れるわけでもない。そんな自分を、こんなにも恰好良い彼が、恋をする対象として見てくれているのだろうか。少しだけ返事が怖くて、表情を隠すように彼の首元に顔を埋め。懐かしい落ち着く香りがする。寝具も少しだけ彼の匂いがして、まるで抱き締められているようだ。)
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