とくめい 2019-09-25 09:21:08 |
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燭台切:
はは、新婚さんみたいな雰囲気だ。もう四年も連れ添ってるのにね。
( 母親の方が的確であるという指摘もなく、どうやら彼女もこの夫婦ごっこに乗り気らしい。分かり易く緩んでいる頬が素直で可愛らしく、それをどうにかして誤魔化そうとしているところがまたいじらしい。今すぐにでも己が妻を抱き締めたい衝動に駆られるが、ぐっと堪えて手を伸ばし、その豊頬をつんと食指でつつき。自覚がないだけで、もしや自らの表情も大方絆されてしまっているのだろうか。それは格好付かないが、この雰囲気の中でなら良いかと思ってしまうのは、些か重症なのかもしれない。)
霖:
…ねえ、さっき、“ 俺以外 ”って言ってたけど…。膝丸になら、言っても良いの?
( 握られた手の温かさを感じながら、彼の言葉をゆっくりと反芻して。そんな風に優しい言葉を掛けられると、どうにも期待してしまう。彼はきっと、未だ稚かったあの頃との差に困惑しているだけ。そう分かっている筈なのに。先程までは気の迷い、ここから先は寝惚けた譫言。胸中で自らへと言い訳を押し付け、吐きかけた溜息をぐっと喉奥に押し込んで。彼の手を取り直し、一本ずつ浅く指を絡めていく。羞恥心から僅かに躊躇いを見せつつも、控えめに問いを投げかけ、握った手に少し力を込め。)
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