とくめい 2019-09-25 09:21:08 |
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歌仙:
───そうだ。例えばきみの友人の女人が本丸にやってきて、近侍殿がきみと同じ扱いをしていたら、嫌じゃないかな。
( 否定を求めていたのだろうか、彼女の反応を見て己が失言に気が付くと思わず口許を押さえ。苦笑がどうにも痛々しく、何か掛ける言葉をと探していると、腰を上げ話を切り上げられ慌てて口を開き。やや早口に言い切ると、我ながら上手い例えだと胸中で自画自賛を。この本丸にいるただ一人の女性と、その彼女に心を傾けてしまった一振りの刀。その状況を理解すれば彼の気持ちも少しは分かるのではないだろうか。ふすりと得意げに息衝き、少しの間を置いた後こほんと咳払いを。)
つまり、触れ合いを減らすことを求められているのではなく、少し彼を特別扱いしたらどうだろうか。
霖:
ふふ、それじゃあ後で呼びに来るからね。ありがとう、髭切。
( 素直に腰を下ろしてくれる近侍に微笑み、理解の早さに甘えて一つ礼を残すと、早速執務室を出て彼の部屋へと向かい。しかし数週間振りの意中の相手に逸る気持ちは段々と不安に変わり始め、襖の前まで来た頃には完全に足が止まり、向かいの壁に凭れて気を落ち着かせ。気持ちが離れることはないとは言われたが、実際に距離を置くのはこれが初めて。万が一ということもある。それに、もし彼が兄との内番を心待ちにしていたとしたら。兄君が近侍となり、共に過ごせる時間も減っただろう、有り得ない話ではない。悪い考えばかりが過り、深い溜息を。)
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