とくめい 2019-09-25 09:21:08 |
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燭台切:
それじゃあ僕が君を娶れば完璧、かな?
( 異性からの褒め言葉とでも認識してしまったのか、小さく狼狽の声を零す鈴の声に口許を緩めて笑い。対のように並べられた己への褒め言葉だが、生憎と付喪神である自分が妻を取り夫となる確率は彼女に比べて大分低い。ふとした閃きに振り返れば、結んだ手を見つめる姿に小首を傾げ。一度足を止めその形の良い顎を掬って上を向かせると、冗談めかした笑みと共に揶揄の言葉を添え。無論数年付き添った主人を何処の馬の骨とも分からない輩に明け渡すのは納得がいかない。本当に娶れるならば安心なのだが。そんな馬鹿な考えを内心笑いつつ、そっと?の輪郭をなぞり。)
僕のお嫁さんになるなら、ちゃんとご飯は食べなきゃだめだよ。それと睡眠も。
霖:
昔の、…………昔の?私ってお祖父ちゃんの本丸に来たこと────、
( 近侍である彼の力強い肯定の言葉一つ一つに取り零さないよう聞き、此方を見据える金の瞳を見詰め返し。篤実で、実直で、あの祖父が側仕えに選ぶのも分かる。握り返される男性の手に視線を落とし、胸が暖まるのを感じていれば、ふと聞こえた彼の言葉に引っ掛かり顔を上げ。確かに“膝丸”に遊んでもらった覚えはあるが、それは祖父ではなく親の──、そこまで考えて思わず身体を跳ねさせ、再び?が熱くなるのを感じ。ああ、違う。記憶の中ではある日突然彼が変わってしまい、幼く淡い恋心も冷めたのだと思っていた。しかしそれは祖父の刀と親の刀が記憶の中で混同しただけ。十数年と数日来の片恋の相手を前に思考は縺れ、繋がれた手を意識すると益々体温が上がり。)
か、重ね、って、…!その、あの、ごめんなさい、がっかりした?あの頃は小さくてまだよく分かってなくて、えっと、
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