とくめい 2019-09-25 09:21:08 |
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→ 日和
ひ、ぅ──…な、なんで余計に近くするの、離してって言ったのにぃ…。
( そこそこ力を込めて肩を押していた筈が、体格の良い彼相手ではその抵抗も意味をなさず。寧ろ密着していく身体に段々と羞恥心は煽られるばかりで。耳の縁をなぞる指先の動きに小さく肩を震わせながら、弱々しく情けない声で文句を口にし。離してもらえないのならどうすれば良いのか、距離を取らない事には彼の発言の意図を考える事も出来ない。本当に互いに想い合っていると自惚れて良いのだろうか。ぐるぐるとループする思考に口をへの字に曲げ、どうにかこの逞しい腕の中から脱出できないかと思案を。しかし髪へと顔を寄せ、好き勝手に距離を縮めていく彼の動きを制止する術もなく。忙しない心音を必死に抑え込もうと深く呼吸を繰り返し。徐に肩を押す手を緩めて服を握ると、絞り出すような声で稚拙な言葉を投げながら真っ赤な顔を肩口に埋め )
……心臓爆発しちゃう、むり、燭台切のばかぁ。
→ 膝丸
──…おやすみ、主。
( 胸に抱いた小さな彼女を優しく見下ろし、ほんのりと赤らんだ頬を目にすると満足げな息を零す。あれだけ大胆な事をしておきながら、何気ない所で恥ずかしがってくれるのだから堪らなく愛しくなる。再度ふつふつと気分が高揚していく感覚に金の瞳を細めるものの、邪な思考は直ぐに分散させ。彼女の細指により視界を邪魔していた髪が耳に掛けられては、徐々に近付く距離にそっと瞼を下ろし、触れ合うだけの口付けを甘受する。今限りで彼女と仲睦まじく共寝する事は出来なくなるのだろう。不服ではあるが、本丸の再生が未だ不完全なのだから仕方ない。そう自分を窘めながら胸元へと顔を埋める彼女の髪に唇を寄せ、低く潜めた声で就寝の挨拶を。その後束の間の幸福を味わうようにゆっくりと瞳を閉じ、自ずと訪れた睡魔に身を委ね )
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