とくめい 2019-09-25 09:21:08 |
通報 |
→ 日和
話は終わった、んだけど…ちょっと──……ううん、大丈夫。
( 思えばこうして彼の部屋を訪ねるのは久方振りだろうか。普段は執務室に籠る己を心配し、彼が様子を見に訪ねて来る事の方が多い。何処と無く緊張の色を含んだ表情を解すべく、塞がった両手の代わりに頬を膨らませたりと遊ばせるが、目前の襖が開くと咄嗟に空気を抜き。彼の姿を目にするなりふわりと和らぐような心地良さを感じつつ、問われた事には途端に眉尻を下げ。脳裏をちらつく先刻の出来事に、再度憂鬱な気分が渦巻いていく。やはり主人が特定の男士に入れ込むのは宜しくないのだろう。相談をと開きかけた口を閉じ、面倒だと思われる前に程良い距離感に戻さなければと首を振っては、普段通りに笑みを浮かべて持って来た盆を軽く上げ。共に休憩を取るつもりでいたものの、不安定なまま彼と一緒に過ごせば失言が目立つであろう事は明白で。渡して直ぐに退散すべきだろうかと徐々に視線を斜め下へ落としていき )
ティラミス、作ってきたよ。上手く出来たと思う…けど、美味しくなかったら残していいからね。
→ 膝丸
──主、用意ができたぞ。…前のように、抱いて運んだ方が良いか?
( 前回は、軽々と男に誘い掛けないよう危機感を持つべく言い聞かせていたが、気持ちが通じ合った事に相当浮かれているのか否か、それを今告げる気にはなれず。無論、己自身が無理に手を出さないと固く決めているからでもあるのだが、ただの近侍に戻る前の褒美だと思えばこのチャンスを逃せる筈もない。腰を上げる彼女に合わせて己も立ち上がっては、後に続くように隣室へと足を踏み入れ。そのまま真っ直ぐに押入れまで進んで戸を開くと、中から布団一式を取り出して中央に置き。丁寧に淡々と皺を伸ばしながら布団を敷き終えては、振り返って彼女の元へ歩み寄りながら手を差し伸べるものの、ふと前回の行動を思い出すと冗談交じりに首を傾け )
トピック検索 |