とくめい 2019-09-25 09:21:08 |
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→ 日和
ひ、──…な、なんだ、びっくりしたなぁ…。
( 気付かぬ内に近付いて来ていたらしく、不意に袋を取られると肩を跳ね、突然重みが消えた事で小さく悲鳴を。しかし咄嗟に振り返るなり相手の姿を視認しては、盗人の類ではなかったようだと安堵の息を吐いて、変に強張った身体を解しながら肩を落とす。少し考えれば相手が誰かなど分かった筈だが、どうにも急な事には対応出来ない性質で。何とも情けない。気を取り直すべく一つ咳払いしては、先を行く彼に合わせて歩みを開始し。帰路を辿りながら彼の手に持たれた袋を見遣れば、その腕元を指先で柔く突いて )
ねぇ歌仙。それ重いでしょ?疲れたら言ってね、私が持つから。
→ 膝丸
違う、……そうではないのだ。迷惑であれば始めから言っている。
( ここ最近主人が気になるのは、頑張り過ぎていないかの心配から来るものだと懸命に偽って来たが、誤魔化す事すら不可能な程に膨れてしまったらしい。悶々と渦巻く感情はそう簡単に片付けられるものではなく、どうにもままならない。思考に耽った後、落ち着いた声で問いを掛けられると一言、直ぐに否定の言葉を発し。嫌に気分は高揚しても、彼女の行為を迷惑だと感じた事はないし、何より彼女とは更に距離を縮めたいと思っている。だが、煽られるままに主従関係を壊す事も、ましてや彼女の気持ちを無視する事も出来ず。数秒間真っ直ぐに視線を交わらせた後、ゆっくりと彼女の上から退いて隣に移動すれば、暗に好意を寄せている事を含ませて言葉を紡ぎ。気持ち悪いと拒絶されてしまうだろうかと、無意識に膝の上で拳を握り )
──俺が、君を意識してしまうのだ。…気持ちを押し付けるような真似は、したくない。
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