とくめい 2019-09-25 09:21:08 |
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歌仙:
───…ほら。早く帰ろうか。
( 会計を通すために暫し離れてから一時。店外にて手持ち無沙汰に待っていると、重たげに袋を持ち直しながら店内から出て来る彼女の姿を捉え。粉類も多かったため女人には少々堪えるのだろう、己を探しているのか視線を右往左往させる彼女に近付くと、その手から袋を預かり。元より彼女から相談を聞くという目的もあったが、荷物持ちも一つの役目。子扱いをされてしまった後なのが締まらないが、主人を助けるのが初期刀としての務めなのだから。片手で袋を持ち直し、ちらと彼女を一瞥した後そそくさと歩みを進め始め。先程も言ったが、余り遅くなってしまっては伊達の彼にも悪い。妙な誤解を招かねばいいが、少し懸念しつつ。)
霖:
それは、───…貴方が優しいから、迷惑だって言えないだけ?
( 自身がこういった行動を取る度、彼は表情を険しくする。片手を畳へと縫い付けられ、本当に組み敷かれてしまったというのにも関わらず、余り胸中は晴れやかでない。優しく煮え切らないその言葉に一度睫毛を伏せ、密かに内頬を噛み。傷付けたくない、という一言に宿るのはどのような意図か。少なくとも、此方の好意に余り良い印象を得ていないのだろう。何も気付かず、若い主人が自分を揶揄して遊んでいるだけと捉えている可能性も無くはないが、希望的観測をするには勇気が足りなかった。暫く思考に耽った後に薄く溜息を吐き、静かに視線を上げ。極めて平衡な口調で問うと、押さえ付けられた手を無意識に弱く握っていたことに気付いて力を抜き、彼を安堵させるように瞳を細め。)
別に傷付いたりしないから。言ってくれれば、もうしないよ。
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