とくめい 2019-09-25 09:21:08 |
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歌仙:
───…うん、良いんじゃないか。彼によく似合う意匠だと思うよ。
( 己の呟きに反応してか、ふらりと彼女が立ち寄った店は扇子や櫛など、男女両用の品が並べられている。一つ一つをじっくりと眺める彼女に柔く笑みを浮かべつつ、自身も品物を物色し。そういえば新しい扇子が欲しかったところだ、近侍殿については彼女に任せ、買う気はなくともその装を観賞して。ふと声色を随分と明るくした主人に振り向くと、掌にあるのは上品ながらも煌びやかな黒曜の櫛。確かに彼を思わせる趣きがある。安易ともいえるが、変に奇をてらわない良い選択なのではないだろうか。ふとした思いつきで品物を再び見遣り、同じ意匠の赤を基調とした色違いの櫛を手に取ると、穏やかに笑みを浮かべ。)
それじゃあ、これは僕からきみに贈らせてもらおうかな。…おや、偶然彼と揃いになってしまうね。
霖:
あのね、膝丸に褒めてもらいたくて、いーっぱい頑張ったよ。
( 腕を引いて抱き留められ、背中へと腕が回る。先程と同じ、否、先程よりもずっと心地良く感じ、再び瞼を下ろし。好いた相手の腕の中に収められ微睡む午後、なんと幸せなんだろうか。気怠い身体を彼へと預け、肩口に顔を埋め。放っておくと力が抜けてしまいそうな腕に鞭を打ち、此方からも彼の身体を弱く抱き締め。依然幼さに引っ張られた口調で告げ、満悦の様子で頬を緩め。きっとこれで、祖父もやっと安心出来るだろう。兄弟や友をずっと待たせてしまった刀には申し訳ないことをしてしまった。しかしこれからは更に──、そこまで考えて、段々と理性を取り戻し始めた思考回路が現状に疑問を抱き始め。意識は明瞭になるまで後どれほどか、無意識に身体を押し付けて甘え。)
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