とくめい 2019-09-25 09:21:08 |
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歌仙:
髪留めくらいなら費用もそう掛からないよ。それにきみは、年頃の娘だというのに洒落っ気がなさすぎるんだ。素材はこんなにも悪くないのに、主ときたら───。
( 此方の軽い提案に対し何をそこまで慌てているのか、ぐいぐいと腕を引かれると此方もむっと眉を寄せ。彼女は少々自分を軽んじすぎているきらいがある。己とて彼女の刀、主人に対しそのように言われては素直にはいそうですかと頷けるわけもなく。とは言え強く抵抗はせず、ただただ腕を引かれながら止め処なく小言を溢し続け。どうせ彼女は此処一体の店については詳しくない。これまで思っていたことを箍が外れたように羅列し、満足いくまで並べ終えると深い溜息を。所詮は彼女の自由なのだが、どうも己の美学に反する。宝の持ち腐れとはこのことを言うのだろう、腕を引く後ろ姿をぼんやりと眺め、ぽつりと呟き。)
…彼も、だらしないのは嫌だと思うけどね。
霖:
ふふ、ほんと?膝丸は私のこと好きなんだ。
それじゃあ、さっきのもやきもちかな?
( 柔らかな表情と共に肯定の意が返ってくると、水を得た魚のように喜色満面に彼へと更に詰め寄り。年相応の無邪気な笑みのまま彼の言葉を過大に受け取った振りをし、先程の「気に食わない」発言を再度引っ張り出し。我ながら彼への好意が昂ぶってやや高揚し過ぎている気もするが、政府からの苦言に落ち込んでいる時よりもずっと良いだろう。しかしすぐに彼からの否定で上塗りされてはつまらない。くすくすと一頻り愉しげに笑い、後ろ手に組んでいた手を再び彼の方へと向け、少し背伸びをして彼の白い頬を包み、目尻を親指で撫で。口から出た言葉は、揶揄目的の本心で。)
───大丈夫、私も好き。
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