とくめい 2019-09-25 09:21:08 |
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歌仙:
…うん、そうだね。
それなら、次はどうして彼が放置しているのかを考えてみようか。
( 己の言い回しで混乱してしまったのか、短い返事を最後に口を噤む主人に合わせ黙々と歩みを進め。伊達の刀は特に懇ろな印象を受ける。だとすれば自身のこの推察も全くの妄言とも言い難い筈なのだが、一体どこで詰まっているのだろう。顎に手を添え口を開いた彼女へ一瞥送ると、気まずげに首肯を。ここでその問いが出るということは、矢張り上手く伝わっていなかったらしい。まさか己にこれ以上皆まで言わせる気なのだろうか、それは全く風流ではない。深く溜息を吐き、動きっぱなしの頭を労わるように軽く髪を撫でて。橋渡しに再度助言を彼女に与え、再び自分は大人しく口を結んで。)
霖:
……ありがとう、誠実で優しくて、格好良い近侍さん。
( 徐々に気色ばんでいく顔色に罪悪感が少しずつ積もる。小気味良い音とともにまた一つ紙面へと皺が刻まれ、おろおろと視線を泳がせて。無理にでも気分を上げなければとふっと顔を上げると、凪いだ瞳が此方を向いており。彼の手が伸び、男性らしい両手が頬を包む。その後告げられた怒りでも慰めでもない言葉を聞くと、暫く呆然と彼を見詰めていた瞳を細め、気が抜けたように笑みを浮かべ。祖父もきっと、彼のこういった気性に惹かれたのだろう。掌から伝わる熱を感じながら、自身も腕を伸ばし彼の頬をそっと挟み。礼を述べた後、敢えて先程の文言を引用し。穏やかな声色で告げ暫しその雰囲気に浸れば、次第に口から溢れるのは愉しげな笑い声。手を下ろして口許を押さえると、申し訳なさそうに眉を下げ。)
───なんて。分かってるだろうけど、好きな人がいるなんて嘘。誤魔化してごめんなさい。
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