シュレディンガーの剥製犬 / 非募集

なぁんだ、お菓子くれないの？(赤い眼が獲物を見つけたとでも言うように電飾の灯りを受けて光る。ギラギラと尖る眼差しで綿の飛び出る頭部がちぎれてしまいそうな縫いぐるみを持ち上げては抱き締める。クマの首口は本物の怪我のように赤く染まり生臭かった。そこに指先を突っ込んだその時に取り出されたマシュマロに眼球をより捲るべく大きく開いて、クマのぬいぐるみを放り投げるのと同時に掴み。遠慮のない動きは傍から見れば強奪のようでもあり、手にしたそれを指先に摘むと柔らかな弾力のある触感をぶにぶにと楽しんで。転がるクマの首口から飛び出るナイフの持ち手部分を靴先で蹴るとカツンとした軽い音が鳴り。「ありすはありす。成功作のありす。猫ちゃんはなんて言うの？ありす猫ちゃんスキだよッ、チェシャ猫はありすに優しいから」きゃらきゃらと癖のある笑い声を共に彼の名前を尋ねれば貰ったマシュマロの包装を開いて自身の口へと放り込む。蕩けるような甘さにはかぼちゃの味が感じられて「美味しー」とご機嫌な呟きを落として)