B 2019-08-26 17:16:30 |
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>>15
(大丈夫、と言われたところで、何が大丈夫なのかも、ハンカチが何のために押しつけられたのかもわからず棒立ちのまま、無意識に彼の動きを目で追う。あまりに簡単に退かされたソレには、極力目を向けないようにした。異常な状況に慣れたのか、感覚が麻痺したのか、段々思考が落ち着いてくる。こんな館にいて、使用人ではない、ということは、彼の身分は自分のそれよりは高いということ。つまり、彼の指示には従うべきだ、と判断し、彼の隣に座るべきか逡巡しながらも、耳触りの良い声で紡がれる言葉は、一字一句聞き漏らさなかった。視線に射貫かれるようだ、と思いながら、少しでも自分の生存確率をあげるための言葉でこたえた。)
……私は、ノア・アッシュフィールド、と申します。さる貴族にお仕えするために、旅をしながらやって参りました。……帰り道は用意されていない、というのは……この館で雇っていただける、という事でしょうか……?
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