【導入】
1600年 関ヶ原。
史実では毛利輝元率いる西軍と徳川家康率いる東軍が激突し東軍が勝利した。とされている。
実際にはもう一つ、第三勢力があった。
「逆月家」三日月に雲の家紋を持つ大名で豊臣秀吉配下の「六」大老の一人であった逆月祥一郎泰定(サカヅキショウイチロウヤスサダ)はその権力を我が物とすべく、豊臣秀吉を暗殺。その後の混乱に身を潜めひっそりと勢力を伸ばしていた。
来たる関ヶ原。一大名で兵力は取るに足らないとされていた逆月家は外法に手を染め、もはや人ではなくなっていた。戦乱極める関ヶ原の戦いに横合いから殴りつけ、少ない勢力で一気に戦場をかき回した。それは人智の範疇ではなかった、矢で射抜こうが、槍で貫こうが、刀で切り払おうが死なない。組付き、首を切り落とさねば何度でも立ち上がるのだ。両軍は一時休戦とし、逆月を打ち取るために共闘することとなった。
圧倒的な個の強さを持っていた逆月だが、寡兵の差は覆せず、ついには討ち取られてしまう。両軍とも疲弊し、なんとか立ち直ることの出来た東軍が歴史の勝者となった。そして逆月の持つ外法を恐れた徳川家康は、逆月家の名前ごとその存在を封印した。
逆月は首を落とされてもなお生きていたのだ。正確には首を潰されない限りは死なないのだ。特に力の強かった逆月泰定当人と六本槍と称される6名の家臣は首を潰されてもなお死ななかったのだ。
扱いに困った徳川は首を物理的、呪術的に封印、富士の樹海に社を築き、厳重に押し込めた。それは、よほどのことがない限り壊れることがないものだった。そしてそれは歴史から忘れ去られ、未来永劫表に出ることはない。
はずだった。