横浜に魅入られて

へぇ、お知り合いに俺と同業の方がいらっしゃるんですか。（ 少しばかり大袈裟な反応を示すのは仕事柄と少なからず虚勢を張る為でもある。口元の笑みは消さぬまま、一瞬目を開いた後に聞こえてきた言葉にはあからさまに顔を顰め。一瞬にして一切の感情の色が消えた瞳で薄ら笑いを浮かべながら「…ケジメとか面目とか、ヤクザ者も大変なんですね。」足先から頭のてっぺんまで、品定めをされるような視線を受けることは慣れている。それを受ける事で居心地の悪さを感じる訳もなく、寧ろ小さな笑みを浮かべて首を軽く傾げるようにしてみせ。前髪を掴むようにして上を向かせられれば、僅かに痛みで顔を歪ませるものの直ぐに笑みを浮かべ「…っ、へぇ、碧棺さんはそっちの気がある人なんですか。初対面の人とどうこう、ってのは俺の考えに反するんですけど、そうだなぁ…俺の事愉しませてくれたら考えてみても良いですよ。」相手の手を払い退けてから立ち上がり、人差し指で相手の頬骨あたりをするりと撫で。妖艶な笑みを浮かべながら顔を近付けるものの、鼻先が触れ合いそうな距離でぱっと離れ、腕時計へと視線を移し「でも、俺これから仕事なんですよね。同伴って言ってたから罰金も嫌だし…監視しに店まで来ますか？」ソファーに置いていた鞄を手に取ってから目前の相手へと視線を送り ）