横浜に魅入られて

嫌だな、こっちだって仕事のうちなんですよ？俺が手を出したんじゃなくて、あっちから店に来て俺の事指名したのに。（ 目の前に座る相手の姿に威圧感は感じるものの、不思議と恐怖心などを感じることは無いのは店にも似たような輩が出入りする事があるからだろうか。真紅の瞳から視線を外すことなく薄笑を浮かべつつ。相手が吐き出した白煙を真正面から受けるものの、仕事柄自分は吸わないにしろ周囲に煙草を嗜む人も多い。そのため、煙草独特の苦味のある香りも一般人よりかは嗅ぎ慣れている。表情を崩すことなくゆっくりとした瞬きを繰り返し。膝に肘をつき、やや前のめりになりつつ営業スマイルを浮かべ「何処ぞの組長の娘さんだってのは聞いてましたけど、俺だって自分の売上は確保しないと給料下がっちゃいますし。そもそも俺から同伴を言い出した訳でも無いんですよね」じっと相手の瞳を見詰めつつゆるりと首を傾げるようにして ）