AB型 2019-08-08 01:31:39 |
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>>2647 晃太
『………俺には眩しすぎたんだよ。』
(健二は立ち去ろうとするが彼の言葉にピタリと足を止める。背を向けたまま苦々しく奥歯を噛み締めては“愛していた”ことを直接肯定することなく小声で吐き捨てると近づいてくるサイレンの音共に姿を眩ませて。──「晃太…思い出した…全部…おれ…晃太のこと…愛してるのに、忘れて…大好きなのに…っ…こうた?……晃太ッ!!」自分に忘れられて苦しかったはずの彼、辛かったはずなのに彼は自分を責めない。それどころか自分の過去も、すべてを受け止めてくれる。優しい彼は右手で涙を拭ってくれるがその弱々しい声にまだ涙が溢れて。地面には血溜まりが出来て彼の白い肌は徐々に青白くなり血は温かいのに握る手は冷たくなっていく。冷静にならないと思うのに彼を失う恐怖から声と手が震えて頭の中はぐちゃぐちゃ。瞼を閉ざす彼に胸が張り裂けそうになり悲痛の声で名前を呼び続けては両手で彼の手を強く握って。その後、すぐに救急車が来て彼と共に病院に向かい彼が左手の治療を受ける間自分は右手をずっと握って「…こうた、大丈夫だから、俺が傍にいるから。」と自分に言い聞かせるように彼に声を掛け続けて──…)
(数時間後…無機質な病室、個室のベッドの上に彼は横たわりその細い腕には点滴の針が痛々しく刺さっている。肌は幾分色味が増したがまだ白くて体温も低い。自分は治療中以外は彼の側を片時も離れずに着替えもすることなく傍に居て、怪我をしていない右手をずっと握り続けていて。彼がこのまま目を覚まさなかったら…そう考えるだけで涙が溢れそうになりグッと堪える。きっと自分が眠っていたときも彼は同じ気持ちだったはず。それどころか彼は苦しみながらもずっと記憶を失った自分の傍に居て支えてくれた。自分が此処で泣いてどうするのだと震えるそうになるのを堪えて彼の手に唇を寄せる。治療の為、彼の薬指からは指輪が抜かれたためその指輪だけは綺麗に洗って彼と自分の手と一緒に握り締め、心の中で彼の名前を祈るように呼び続けて)
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