かび 2019-07-31 18:38:25 ID:994fddcc8 |
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>72の続き
「ああ、良かった、見つけた。」
息を切らした男の人の声が後ろから聞こえる。
まさか私ではないだろうと思いつつ、念のためそっと後ろを振り向く。
「さっきの…」
「ああ、そうだ。僕はステファノ。ステファノ?ヴァレンティーニ。君の名は?」
「ナナフォス?ディケンズです。…おじさんから、紙をもらいましたか?」
まさかこの人のものではないというのだろうか。
「ああ、貰ったさ。この紙は、君にあげるよ、ナナ。」
…驚いた。私の数少ない友人が呼ぶ愛称でこの人が私の名前を呼んだから、少しの間固まってしまう。
それに、私にって…?
「君への贈り物だ。僕は君に興味があるんだ。」
面と面で言われた言葉に、衝撃を隠せない。
「…あなたが興味があるというのは、私の髪の下ですか?」
それなら抵抗はあるけれどサッと見せて…
「それも気になるが、僕は君の全てを知りたいと思ったんだ。…職業柄で身に付けた、僕の目が、本能が、君を知れと言っているんだ。」
この周りくどい言い回しは、美術家特有の世界観からくるものなのだろうか。
でも、
「……すみません、私にそこまでの価値はないので…この紙は、お返ししま…」
返そうとした手ごと握られ、私の耳で囁く。
「それは持っていた方が良い…僕の為じゃなく、君の為にも。」
それじゃあ、連絡待っているよ。と残し、去って行く男の背中を見つめ、言葉の意味を考える。
捨ててはいけないという思いが何故か私の心の中で膨らみ、渋々バッグの中に紙を入れる。
もう会う事なんてないだろうけれど。と思っていた私を嘲笑うような日常が来るとは、この時思いもしなかった。
****tuzuku****
あーーー、(名前)←これ使いてぇ!!!ナナフォスって誰だよ…
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