吸血鬼さん 2019-07-26 15:30:39 |
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>35 シャルロ
有り難う、吸血鬼さん。お邪魔します。(扉を叩いてから少しして聞こえた短い返事。嗚呼、やっぱり此処がそうだ。改めてそう認識してはすぐに扉が開いた。ベージュの髪に紅色の瞳。そしてその服装。人間でないことは明白で、安心すると表情が緩んだ。此処でなら、安全に暮らすことができる。人間に邪魔されることなく、のびのびと生活できる。そのことが何より嬉しかった。"仲間"を見るのはこれが初めてだ。此処にいたんだ。ずっと感じていた孤独という名の感情に今になって気付いた。毎日の物足りなさはきっと仲間の存在がなかったからだろう。現に今、彼の姿を見て凄く満たされた気分になった。人間とは違う己を受け入れてくれることに対する感謝を簡潔に告げると、そっと足を踏み入れる。感じた空気はとても良いもので、他の住人に合わずとも良い環境であることは想像に難くない。ラベンダー色のスーツケースを引き摺らぬようそっと持ち上げれば、非力ゆえにぐらりとバランスを崩しかける。しかし何とか持ちこたえると邪魔にならない壁際へと荷物を移動させれば、自己紹介をしようと彼の前へと進み出て)私、アニータっていいます。見たらわかるかもしれないけど、ひとつしか目がないの___宜しくね、吸血鬼さん。
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