賢者アークエット 2019-07-16 19:33:40 |
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【 柳緑の騎士・オズワルド / 第二要塞都市ソルブランカ- 門前 - → 第二要塞都市ソルブランカ- 関所 - 】
っはあ、はあっ、──くそ、間に合わ、なかった…!
( もう誰もいなくなってしまった関所前で、膝に手をついて悔しげに地面を睨み付け。ぼたぼたぼた、と額から大玉の汗が落ちて荒野に染みを残す。遠目ながら、秘奥はあの弟君モドキが破壊したようではなく、発現が保てなかったように見えた。あの爺さんもとうとう老けたかね、と失敗や敗北の文字と彼を上手く結び付けられずに、結界が解けた理由を年齢のためだと断定し、なんとはなしにそちらを、つまり門側に振り返ったその瞬間 )
──は、あ?
( 脳が理解を拒絶した。乱暴な手つきで粗大ゴミのように放り投げられた“それ”はべちゃりと不快な音をたてて自分の衣服を血で汚していく。パンやケーキに真っ直ぐ刄を入れたときのように、凹凸のない、美しい人為的な平面があった。動揺と重さから間抜けにも尻から倒れ込む。ちょうど腹の上にある半球の、赤かピンクか黒か分からない断面をさらけ出したそれは──濁った目の、我らが第二守護騎士団団長その人だ。 )
( どれくらいそうしていただろうか。ふうぅと長い息を吐き出して、こちらに凭れる亡骸を助け起こしながら立ち上がる。陽射しを受けた葉の色をした双眸を一度閉じ、開くと、左腕を突き出して彼を巻きとった。関節の繋ぎ目にぴき、と小さな脈が浮かんだが構わずに伸ばし続ける。門前まで送り届ける頃には上腕が変色しているだろう )
…さて、と。ケツを拭きに行きますかね。
( もう騎士達が走り抜けてしまったあとの道を見やって、歩き出す。無謀なことは重々承知の上だ。ましてやこの後丸一日以上秘奥は使えず、体力も精神も底を尽きかけている。敵は強大、守りは脆弱。冷静に考えれば、戻って反撃の機を伺うのが最善なことくらい、猿でもわかる簡単なことだ。それでも…いや。あんな凄惨な死に方を見せ付けられて、冷静で居られる方が気が狂っているのだ。それに、何より、一体全体、どの面を下げてあの門を潜れというのか!今の自分があの要塞に戻ったところで、生むのは損失しかない。この情けない面で、マリアがいないことの象徴のように寝台の上の住人になり、人々の不安を煽ることしかできないなら、いっそ帰らないでいた方が良いだろう。吠えるようなあの辞世の句を聞けなかった自分にとって、最期の言葉になってしまった彼の言葉を思い出しながら、疲弊した身体で一歩、二歩、西へ。 )
【 ルート選択:
∟②マリアを追跡すべく西へ疾走するも、満身創痍の身が祟り仲間の騎士とはぐれ、倒れ伏す 】
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