賢者アークエット 2019-07-16 19:33:40 |
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【 マリア=レギナ / 第二要塞都市ソルブランカ- 門前 - 】
( __何、この胸騒ぎは。無意識の内に自身の胸元の服をぎゅうと握り締めていた。守護騎士団に宥められながらも門前まで足を運んでしまったのは、一秒でも早く弟の無事な姿を見たいから。地平線へ目を凝らせば、関所の辺りに何やら黒い霧が見えた。あれは何、と目を凝らしていれば此方へ全速力で駆けてくる騎士達の姿。 )
__!
( 思わず身を乗り出し、こうしてはいられないと見張り台を降りる。厳かな音を立てて両側に開かれる門、その一線を越えることは特別な許可が無ければ叶わない。マリアたる自分がどれだけ重要な存在かは不本意ながら理解している、だからこそ門のギリギリまで進み出れば両腕を伸ばし )
ヴィンセント、オズワルド…!__カサンドラとロットも無事で良かった…っ
( 愛する弟を担いでくれていたのは、見覚えのある騎士。それでも彼より先に弟の名を呼んでしまったことを悔いる余裕などなく、彼の逞しい秘奥に支えられた弟の首に腕を回し、鎧に頬擦りを。次いで帰還する応援に駆けつけてくれた騎士達の姿に、喜びや安堵、そして心配でくしゃくしゃになった表情を向ける。 )
怪我してるのね、ヴィンセント。先ずは治癒を、オズワルドへの御礼はその後よ。__……?
( 傷を直接見たわけではない。けれど、五体満足なら誰かに抱えられることなく、自分の足で帰ってくる筈だ。ゆえに怪我をしていると判断し、それがどこにあるのかを探ろうと先ずは弟のヘルムを着脱した。最も怖い頭部への傷を確認する為の行為だったが、露わになった弟の両目は、灰色で。 )
あなた、誰……?
( マリアが言い終わるが早いか、傍に仕えていた守護騎士が悲痛な声で制止を叫んだその瞬間に、仮称ヴィンセントはマリアの手首を掴み、文字通り消えた。瞬間移動だ。マリアを失うことは、要塞都市を一つ落とされるのと同義__誰しもが理解している事 )
↓
【 亀裂の魔・テウダ / 第二要塞都市ソルブランカ- 門前 - 】
( 数秒置いて、門と関所の間、その中間地点よりやや関所側に、マリアを抱えた青銅の鎧に身を包む何者かが現れた。一度に長距離は移動出来ないのだろうか。門前から彼等への距離は、全力で駆けて分ほどの筈。まだ、間に合う__しかし。それを阻むように上空から降り立ったのは、3m程の体躯を持つ二足歩行の魔。見た目は若々しい青年然としているが、肌は灰褐色、瞳は黄緑に輝く。背中には2枚の蝙蝠のような翼、色は毒々しい紫。細長い尻尾の先は、翼と同色の体毛に覆われている。 )
…案外ガバガバなんスねぇ。まさかこんなに上手くいくとは思わなかったっスよ
( 流暢な若者言葉を扱うその様子に、油断してはならない。彼は間違いなく魔族、人を屠り蹂躙する為に誕生した強靭な種族。ゆらゆら自在に背後で揺れる尻尾、それをぶわりと大きく振るって地面を一度だけぶっ叩く。すると、瞬く間に地面は揺れ、一体の地面に亀裂が発生してゆく。否、亀裂などと生易しいものではない。これはもはや地割れと呼んで差し支えない、このままではマリアと仮称ヴィンセントを追う事が叶わなくなる。この魔の横を擦り抜け、素通りさせてくれるほど、隙も慈悲も無いだろう )
つーわけで。諦めて巣ン中引っ込んどいてくれっと、オレ的には楽なんスけど。
( にこり、爽やかに笑う姿は不気味さすら感じさせる。空恐ろしい程の魔の存在感が、人々の肌を打つ )
【 というわけで、魔との初遭遇だ。戦うも良し、問答出来るように交渉するも良し。断折の騎士よ、此方こそペースが速く申し訳ない。物語の流れを停滞させない為にも、全体が同じ絡みの中にいる時は私が返せる時に返している。今後ストーリーが完全に分岐し、群像劇の色が濃くなれば君のペースに合わせることが出来るだろう。今回は例によって、柳緑の騎士が男を抱えたまま帰還した、という流れにさせて貰った。活躍の場は今後無限に存在する、君が伸び伸びと躍動するシーンを見られるのを楽しみにしている。確認の報告も有難う。 】
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