賢者アークエット 2019-07-16 19:33:40 |
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【 柳緑の騎士オズワルド / アマニ旧市街 → 第二要塞都市ソルブランカ 】
慌ててたんだ、これくらいは大目に見ちゃくれねぇか。……おい、待て!
( 成人しているかどうかも怪しい娘の見目への批難はやけに鋭さがある。敵だというのに苦笑しながら空いた右手で後ろ頭を掻き。金属がぶつかる音をたてて得物を放棄した様子には片眉上げ、されど次の瞬間宙を舞い彼女の首を狙って勢いよく回り出したそれに自決を警戒。あくまで脅しであった鋭利な枝を、チャクラムから彼女の首を守るように仰け反らせる。あえなくそれらは切り取られてしまったが、杞憂だったと分かれば安堵の息を吐いて。 )
なっ、は──
( 薔薇の花弁が、否、椿が落ちるように、赤い塊が降って顔を汚す。今しがたもう一本の枝で捉えようとした若い女性の脚が目の前にあった。力なくくずおれる姿に息が詰まる。騎士として戦場に出ている以上、人の死に目に合うのは珍しくないものの、血の気が引いて動けなかったのは、その死に様が嘗ての記憶に重なったからか。呆然としている内に先程まで警戒していたはずの自殺すら許してしまい、チッと行儀悪く舌打ちを零す。 )
……っ糞、畜生、どいつもこいつも、くッだらねぇ死ぬ覚悟ばかり一丁前に!手荒だが勘弁しろ、その情けねえ面姉君に引っぱたかれるまで死ぬんじゃねぇぞ、このあほんだら!!お前らも早く、走れ!!
( 残りも少ないだろう体力を振り絞った叫びは、受け入れ難い事実から目を逸らした一人の騎士を現実に引き戻した。ナハトの少女の左腕に絡めたままだった樹木ごと5本の枝を一度消失させ、元の木の腕に戻すと、インナーを突き破って肩甲骨の下の辺りから太い豆の木を2本生やす。今となっては貴重な時間を態々割いて、胴体から離れた首の見開いた目を素手で閉じさせた。近くにいる断折の騎士に注意しつつ、豆の木2本で下弦の騎士を確りと抱え、そのまま都市の方向へ走り出し。 )
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