賢者アークエット 2019-07-16 19:33:40 |
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【 嫦娥のセンナ、婀娜のリンナ / 黒鉄騎士団第三拠点 】
>オズワルド(>117)
( 音もなく首へ切り込みを入れた鉄扇は、ついに1cmと進むことはなく相手の頭と胴体の寸断には至らず。獰猛な咆哮と共に振り抜かれた拳、嫦娥は反射的に半身を斜めに傾け、紙一重で躱した、つもりだった。頬に肉薄しただけで薄い裂傷を作った拳圧に思わず目を瞠る、それと同時に相手の下から婀娜が首を狙って短剣を突き出す。これが相手の首を貫き、気道も血管も破壊する、筈だった。刹那、再度凛と鳴る鈴の音。秘奥を持つ侵入者を報せる音に、怪訝そうに嫦娥と婀娜が視線をかち合わせるよりも早く、オズワルドの眼前に立っていたのは、顔の上半分を隠す仮面を付けた何者か。片手間に構えたフランベルジュが、見事にオズワルドの喉を狙う短剣の切っ先を抑えていて )
↓
【 消滅の騎士??? / 黒鉄騎士団第三拠点 】
…獣の声と、第二のマリアの香りに導かれて此処に来たんだ。君、彼女の居場所を知ってる?
( ゆったりとした所作で、オズワルドを見下ろしながら問いかける。キリキリと剣同士の切っ先が嫌な金属音を奏でるが、仮面を付けた何者かの声はひどく涼しげで落ち着き払っている。声や身長から察するに男性だろう。口許に浮かぶ緩やかな弧は、まるで氷の様な冷たさを彷彿とさせる微笑を描く。話口調もひどく穏やかだが、その声音からは人間の生気や熱の類は感じられない。嫦娥と婀娜は、仮面の男を見るなり限界まで瞠目し、性急な動作でオズワルドと彼から離れ距離を取る。彼はオズワルドの殺害を阻止したように見えた。もし仮面の彼がオズワルドの味方になるのだとしたら、戦局逆転どころか万に一つも勝ち目はない。ずっと余裕を見せていた二人の表情が、ここにきて初めて曇る。下手に動くことは出来ず、仮面の男の出方を伺っているようだ )
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