【灼熱の砂漠に実る赫い果実】非募

…言わんこっちゃねぇな。カビたパンだの、んなの食ったもんの中に入るわけねぇべや！？ほれさっさとシャワーさ浴びでこい。
(手を振り浴室へ姿を消したのを確認すると、事前に仕込みを終わらせた野菜のポトフとプレーンの素朴なマフィンをテーブルに並べた。シャワーの音が途絶えるのを聞き届けると、シャツを半分来た状態の彼が姿を現す。ホカホカと湯気を纏って綺麗になった様は風呂上がり独特の色気はやはり家族同然と言っても少し目を惹いてしまう。完全にとめられていないボタンを指さしながら「ふ、服をちゃんと着ろ！そんな肌ばっかり見せたら風邪さひいちまうべ。そんで飯さ食え、お腹に優しいもんだけ作ったからな。」目を盛大に逸らし人差し指を力ずよく相手を指させば温めたばかりの料理へと目を向けて席へと移動する。だが、相手から名を呼ばれてその足を止めると手の中に光る硬貨と飴を見返して唖然と目を瞬かせた。「新しいもん買ってくれるんは嬉しいけど、わだすなんてもんにドレスなんてもん似合うわけねぇ。そんなお姫様が着るようなしろもんはうごきにきいしな。」表情は笑顔なのに眉は悲しさを表すように下がっていた。)