グロリオサ 2019-05-28 07:30:30 ID:4661082a2 |
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「……あの少女は…痛手だな」
アリスは苦々しげに呟き、かぐやを見つめる。
【わ、私は…大丈夫ですわ】
《…ちょっと、話しても大丈夫かァ?
アリスの過去》
「…構わん、いずれ知れる」
《それでこそ俺のアリスだなァ。
んじゃ、語るとしますカ…アリスの過去をヨ》
レッド・クイーンは、喋り出す。
アリスの過去を。
自らの、過去を。
~〔認知された〕不思議の国のアリス~
好奇心旺盛な少女アリス・ウェルダンディ。
彼女はウサギを追いかけ、異世界へ通じる
穴へと飛び込んでいった…。
これは、〔認知された〕お話。
本当のお話は、全く違う。
〔忘れられた〕不思議の国のアリス
【災厄の乙女】パンドラの力によって
狂ってしまった物語。
快楽殺人鬼の少女、
アリス・ウェルダンディは進む。
パンドラの使い魔を切り裂き、狂った
登場人物たちを斬りながら。
真っ白な頬に血が飛び散ろうが、
真っ白なリボンが血で真っ赤に染まろうが。
彼女のすべては自らを描いてくれた作者、
ルイス・キャロルのために。
真っ青なワンピースの裾を生温い風に靡かせ、
その頃はナイフであった武器を鳴らしながら。
【赤の女王】の城へと進む。
【赤の女王】は、其処に居た。
玉座に腰掛け、気だるげにアリスを見つめた。
《…あら…貴女のような可愛らしい少女が、
〔忘れられた〕アリスかしら?》
上品で、甘ったるい声。
アリスは、吐き気がした。
故に、【赤の女王】に飛び掛かった。
だが、攻撃はしなかった。
いや、【出来なかった】。
彼女からは、自分とおなじ孤独の匂いが
漂っていた。
その時、パンドラの使い魔たちが城へと
押し入ってきた。
アリスはナイフを構え、迎え撃つ姿勢を取る。
【赤の女王】は…鞭を構えた。
何とか勝ったが、アリスはもう満身創痍だ。
《…私を使いなさい。貴女が認知する限り、
私は何にでもなれるのよ》
アリスは、欲しかった武器を念じた。
【赤の女王】は、お喋りな太刀になった。
《んァ…?何で俺、男になってんだァ?
俺ァ…女だぜェ?》
「………黙れ」
《はいはい…黙っとくサ。あんたが命令を
出してくれるまでは、ナ?》
【ハートのジャック】は、【赤の女王】の
認知下にあったためにトランプの木になって
助かった。
アリスは、パンドラに堕ちかけていた
〔奇妙なお茶会〕の奴らを、闇の力を
使える状態で仲間にすることが出来た。
アリス・ウェルダンディは…《束縛》の
復讐鬼となった。
《…とまァ、こういう訳さネ》
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