ビギナーさん 2019-05-25 19:18:04 |
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(見ないで、来ないで。相手に告げた後はもうそう願うほかは無く、膝を巻き込んで掴む自らの腕に爪が立つ程力を籠め。互いに口を閉ざした少しの静寂の後、再び届いたその音は柔らかな色を帯びていて、その所為か今度はすんなりと頭に言葉が入るが、それでも吐き出せたのは返事に成り損ねた細い息のみで。ややあって、もう一度聞こえた己を気遣う声が消えたのを見計らって顔を上げ。続いて抱え込んでいた脚を伸ばし立ち上がれば、音を立てぬようそっとドアを開けて様子を窺い。それから一分程度の間を経て漸く部屋の外へ出て廊下を歩み、リビングを恐る恐る覗いて)
…………居ない
(ドア越しの言葉通り其処に相手が居なかった事にか、それとも漂ってくる甘い香りにか、切れそうな程に張っていた感情の糸は弛んでいき、同時に力んでいた肩も下がり。安心にぽつり独り言を呟いた後ゆっくりと室内へ踏み入れ、マグカップの置かれたテーブルの前に座り、まだ湯気の上がるそれを両手で包むようにして触れ。次いで持ち上げたその中身をほんの少し口に含めば、昔飲んだものと同じ甘さが広がって。ずっと幼い頃、何度も作ってもらったその懐かしい匂い、懐かしい味にすっかりと身体の熱は落ち、代わりに蘇る思い出と温かな感情が己を満たし。…昔、よくこれをねだった事を覚えている。それは勿論、味が好みだったのもある。けれど、それ以上に。この甘さが混ざった相手の匂いに包まれ、甘やかされ、触れ合う事が何より好きだったからで。そうしてココアを口に注ぐ度浮かぶ幼い頃の記憶と、ここ最近の現状の差にふと言い様の無い物悲しさを感じて、胸の奥が微かに痛み。ノア兄に、触れたい。話がしたい。…でも。涌き上がる想いに曇った表情で、飲みきったカップの底をじっと見詰めて巡る葛藤に溺れ)
あ…そろそろ、寝ないと
(暫くの沈黙の後、ふっと見上げた時計は深夜を示しており。そこで漸く思考は途切れ、そしてそれを期に立ち上がってマグカップの片付けを済ませ、就寝の準備を簡単に行ってから自室へと戻り。…明日、ココアのお礼を言おう。ちゃんと向き合おう。広く冷えたベッドの上、そんな決意が満ちた頭を枕に預け、瞼をゆるりと閉じて眠りに意識を任せ)
(/そこはまあ…テッドがちゃんと制御してくれる事を願いましょう(笑)そりゃあ勿論、ぼろぼろになるまで使い倒しますとも。更に、組織の人間に歯向かったり怒鳴ったりしてきたら蝶部隊が監視しに来ます(笑)常識人さんが本当に、何というか…真っ当な人のようで…多少引け目を感じてしまいそうですね、テッド(笑)まあリアム君は…その内ビティスがどうにかするので…(笑)はい(笑)ふふ、良いですね。では、襲われて最初は「実際年下だろ?」とかテッドに笑っててもらって、その余裕を常識人さんにどんどん剥ぎ取ってもらいましょう(笑)ええ…頼みましたよ、ノアさん(笑)いやあ、ホントご心配おかけします…ふふ、何年経っても好きなものは変わりませんよね。ビティスも勿論、ノアさんが作ってくれたものが好きなようです(笑)さて、ビティスの想い出なぞを長々綴ってしまいましたが…そろそろ家出イベントですね!)
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