K - 09. 2019-05-09 19:14:20 |
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_君は喋れる?
( 其れは昨日の夜の事だった。雨が降り頻る中、何時も通りにバイトを終えて帰り支度を済ませると持ってきていた折りたたみ傘を広げ、己はバイト先を出て。バイト先と家との距離は徒歩で行ける所で今日も何事も無く一日が終わるのだろうと思って歩いていれば、チカチカと切れ掛かる街灯の下に何かが見え。薄暗くてハッキリとは分からないが、己の見間違えで無ければアレはもしや… 人?だろうか。なんだか嫌な予感がしつつも、そこを通らなければ帰れないのでなるべく見ないようにして通ろうとするけれど丁度、街灯の横辺りの時に見てしまって。目に飛び込んで来たのは雨の中、体を小さく丸めて蹲る一人の少女。どうしてこんな場所に一人で居るのだろうか?どうして… 考えたらキリが無い程に色々な疑問が頭の中を駆け巡り、気付いたら少女を連れて部屋に戻っていた。何も話さない少女になんて声を掛ければ良かったのだろう、分からないまま夜が明けて漸く己は上記を聞いてみる。少女は問いに軽く頷き、昨日よりも近い距離に座ってか細い声で話し始めて俺は思った。昨日の今日で何を言っているんだろうと周りは思うかも知れないけれど、もっと君を知りたいと。話しながらも君の頬を伝う涙を見て、何も言わずに少女を抱き締め ── )
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