恋は時々、痛いけど。/ 一対一

そんなの、俺の方が長いじゃん。俺の方がよく見てきたと思うんだけどなぁ…
(寂しそうに呟かれた言葉にふっと吹き出せば優しく頭を撫で、見てきたのは此方も一緒だと。揶揄われたことに対し怒りよりも恥ずかしさの方が勝ち「ばっ、馬鹿。別に出したくて出したんじゃないって 」と精一杯手を振り否定をすると忘れてくれと言うかのように手でバツを作りこれ以上弄られる事を拒む。リュックを携えて部屋を出ようとする彼に まってよ、と声をかけると自身もまた黒いリュックを手に取り乱暴に車の鍵をポケットへ押し込みリュックに抱き着きながら部屋をでて。自分の母親に軽く声をかけると、彼に玄関で待ってて、と合図し、自身は車庫に入れた白の車を運転しながら登場し、玄関の近くまで寄せ窓を開けるなり 「 要くん行くよ、はやくのってー 」 威厳のないゆるゆるの声でそういえば急かすつもりなど鼻から無く、小さく手招きしてみせ。)