匿名さん 2019-05-03 20:29:55 |
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「お弁当…、ありがとうゆうくん!ゆうくんママのご飯すっごい美味しいからこれ食べて頑張るね。」
(手に感じるほんのり暖かい感触とずっしりと確かな重みを出す風呂敷を大事に抱えて、毎日自身の分のお弁当を作ってくれる幼馴染の母こと「ゆうくんママ」には頭が上がらない。窮屈な教室で確かな手料理を食べれることが心の拠り所になっていた。それを大事そうに鞄にしまい込むと幾分かはましになった笑顔を向けて「…じゃ、行ってきます。」そう言い残して歩みを進める、相手との教室は階は同じなのだが別棟にあるためかとても離れているようにも感じるのだが一角の隅にある教室が自身のクラスで、その教室の窓側の最後列の席を目指し重々しく扉を開いた。数人の生徒と扉の外から聞こえるざわめきが一瞬静寂を訪れさせる、他方の方向から絶え間なく降り注がれる視線は背中を小さなナイフで刺すように容赦なくその刃を向けそれから逃れようと足早に席に着くも机の表面にはまたもや新たな落書きが施されていた。慣れたものだ、最初はこれを見る度流れそうになる涙を堪えるのに必死で、その様子を見て楽しむ者がいるのも知らずに油性で書かれたそれを何度も何度も雑巾で拭って。思い出した過去を嘲笑い机の落書きと間に見える切り込みの様な無数のキズも全て飲み込んで、ひっそりと本を読んだ。舌打ちが聞こえる主犯とも言える数人の女子グループから睨まれていることに気づくも本を捲る手は止めず。ただこの最低な一日が過ぎるのを待つだけ、何気ない授業が進み初め教師の声だけが響く部屋で窓の外違うクラスの体育が始まろうとしている。そこの集団の中で輝いて見える天使に気づかれなくてもいい、この真っ黒な教室から見える唯一の光に笑顔を向けた。)
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