xxx 2019-05-03 12:15:15 |
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>28 夏目央
モルドルかローズにでも頼みな、アンタが自分でやったんじゃ程度も知れてるんだから。(どんなに撥ね付けても己の前から消えていこうとはしない、ある種健気とも言える姿に感化されたと言う訳ではないものの少なからず心の何処か、何かが動かされているのは確かな事。元々他人に助言を寄越す様な出来た性分ではない。その証拠に、彼女が未だ顔を合わせた事も下手をすれば名前すら耳にした事も無いであろう住人の名を何の補足情報もなしに挙げると言う不親切さがちらつく、何とも中途半端な助言のなりそこないを寄越すに留めた。飽きもせずに鱗の流れを撫でてゆく掌にちらりと視線を投げる。何故嫌がらないか。其れは、鱗を見詰める彼女の瞳に、そして触れてくる指先に、己の纏う鱗の色や輝きの美しさを認めていると言う事実が滲んでいたからに他ならない。満更でもない気分がうっかり表情に染み出してしまわぬ様にあくまで不機嫌そうに顔を顰めたまま、皮ごと口の中へ放り込んだ葡萄の甘味と渋味を纏めて咀嚼しつつ、予期せず駆り立ててしまった相手の好奇心に気が付くと「馬鹿な事聞かないで頂戴、当たり前じゃない。アタシの美しさは日々更新されてるのよ。何時だってアタシの体は美しいけれど、何時までも同じ鱗は纏っていられない。輝きも手触りも、常に最高の状態であるべきだわ」とふんぞり返り)
懲りずに懐いて回って――本当、アンタのおめでたさも此処まで来るといっそ清々しいわね。これ以上アタシの手を煩わせないで頂戴。誰にでも世話焼く訳じゃないんだから。
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