xxx 2019-05-03 12:15:15 |
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>16 黒川光
今、貴女様が抱く感情に何一つ間違いはありません。ええ、決して、間違いなどではありませんとも。初めは何方様も同じ様な顔をされるのです――ともあれ、先ずは私めに貴女様を歓迎する許可をお与え下さい。(驚嘆、困惑、落胆…今まさに彼女の中を渦巻く感情の全ては、彼女の見せる挙動のひとつひとつから面白い程簡単に窺い知ることが出来た。其処に新鮮さは無く、寧ろ極めて普通――此れまでに数え切れぬ程の死にたがり達を迎え、見送って来た己にとっては寧ろ見慣れたものですらある。彼女が後退した分だけ一歩、また一歩と距離を詰めながら深淵の如き輝きの無い漆黒の瞳をぎょろりと見開き、俯き加減の姿を尚もじっと見詰めると「申し遅れました、私ギャルソンと申します。此の館へ招かれた死にたがり様…つまり貴女様の為の案内人で御座います。以後お見知り置きを。」と簡単な挨拶を済ませた。これから説明しなければならない事は山ほどある。久しく迎えた新たな死にたがりを目の前にして、得意の案内説明それら諸々を担うとあっては気合も入るというもの。伸ばした背筋を一層真っ直ぐに整えながら薄っすらと微笑むと「さて…それでは、貴女様の疑問にひとつずつ順番にお答え致しましょう。結論から申し上げまして、此処は天国でなければ地獄でもない、"死にたがり"だけが招かれるマダム・ノワールの館。加えて言うならば、未だ死人でもない。死の直前、"あちらの世界"から弾き出され、此の館へ招かれた…そう、貴女様は選ばれたのです。選ばれた死にたがりである貴女様は、今此の瞬間から、此の館で我々と共に暮らして頂きます。」、瞬き一つせず、殆ど捲し立てる様な勢いで一息に言い切り)
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