ケイ 2019-03-26 15:23:10 |
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【………獣耳くんじゃねー、フェンリルだ】
それまで押し黙ってパンとスープを頬張っていた
狼の耳を生やした少年は、ぼそりと呟く。
〈ああ、そういえば…自己紹介がまだでしたね。
私はランタン頭のファルです〉
〔それならば、私も。私はティーポット頭の
ツヴァイと申します。以後、お見知り置きを〕
ランタン頭とティーポット頭は、示し合わせた
ようなタイミングで自己紹介をする。
『おっと、鴉紋はまだ寝てるのか…ドロシー!』
ハンナは新しい人物の名を呼ぶ。
その声に答えるが如く、長い赤髪の瞳を
閉ざしたメイドがゆったりと歩いてくる。
[あら、ハンナさん。何のご用ですか]
彼女はそう聞くと、少し首を傾げる。
[今日は随分と気配が多いですね…
お客様ですか?]
彼女は双眸を閉ざしたまま、ハンナに問う。
『ああ、そうだよ…それより、鴉紋を
起こしてきてくれ』
[ええ、承知しました]
彼女は一礼をすると、階段を昇っていった。
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