アルヴィオン 2019-03-26 02:55:08 |
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(ガシャガシャと愚鈍な騎士達の鎧が擦れる音が遠く感じられる。彼女の心は冷え切っていた。このまま散っても良いと想うほど。_自己愛故の行動だった、それでも認められたかった。確かに彼女の自己満足では有ったかも知れないが、偽りだとしても愛し尽くした者達に剣先を突き立てられる気持ちが絶望が苦しい程の憎悪が、彼等にはきっと分からないだろう。永い時を暗い孤独をたった独りで過ごす事など、人間には無いのだから。__睨み合う両者の中で響いた凛とした声。深く心に響く自身の核心をつく台詞に視線を巡らせ、彼を捉えたその瞬間に眼も身体も感覚を有する全てが彼に囚われる様な錯覚。情けない悲鳴を上げ逃げていく騎士達への関心など既になく、マントを翻し振り向いた彼が此方に歩み寄る動作にドクドクと高鳴りを伝える心臓の音が脳に響く。徐に自身の前へ跪いた彼とお互いの視線が交われば強い意志を浮かべる耽美な金の瞳、穏やかで強引で力強い言葉に、ひゅっと細く息を吸う事しか出来ずに彼女の白い脚が恐怖か或いはえもいわれぬ歓喜からか無意識に震え始める。混濁した思考の中で愛とは久しく聴かぬ言葉に暫し呆然と彼を見詰めれば強く引かれた肢体に重なる口付け。抵抗など出来るはずも無く、最早する気も無く幾度と重なる冷たい唇は飢えた心を暖める。耳元で囁かれる甘い声がゾクゾクと背中を這い回る感覚。視界に広がった彼の黒に、その闇に彼女は既に堕ちているのだろうか。恍惚とした表情でその翼に手を伸ばすと数度彼の名前を繰り返す、心に刻むように。) __連れて行って、アルヴィオン。貴方と共に。
( / トピ立てお疲れ様です。24884の匿名魔女です。ロルテストとの事でしたので拙いながらに紡がせて頂きました。相性や文体の好み等有りますので合わないと思われた場合はバッサリとお断り下さい。 )
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