アルヴィオン 2019-03-26 02:55:08 |
通報 |
▼舞台
咲き乱れるのは雪よりも白いチューベローズ、その純白に埋もれる様に囲まれた黒煉瓦の立派な城が拠点。
吐く息が白い程には通年冷え込むうえに、やたらと標高の高い場所にあるためヒトが辿り着くことはほぼない。
馬の脚で丸一日駆ければヒトの住む街が見えてくるが、基本的には外界から隔離された二人だけの愛の巣。
城内は広く、シックながら豪奢な造りであり、吸血鬼の使い魔たちが雑用をこなしている。
時代は中世ヨーロッパ、時代考証はふんわりのなんちゃってルネッサンス。
▼魔女について
・白髪に紅眼のアルビノ、人間離れした美貌
・永い間独りで古城に住みながら、人里を襲い破壊行為に明け暮れていた
・もっと昔は魔法を善行に使っていたが、それは寂しさを紛らわし承認欲求を満たす為
・人に裏切られてから破壊を繰り返していたのは己の存在証明の為
・吸血鬼のストーキングには気付いていなかった
・一連の騒動が吸血鬼のシナリオであることを察したか否かは要相談
・騎士団から守ってくれた吸血鬼にフォーリンラブからの依存中
▼吸血鬼について
・途方に暮れるほど昔から魔女をストーキングしていた
・アルビノの血しか飲まない偏食であり、今まで様々なアルビノを攫っては喰ってきた
・故にアルビノは只の上質な餌という認識、しかし貴女だけには苛烈なほどの愛情を向ける
・この吸血鬼の牙には特殊な中毒性があり、吸血行動に伴う痛みを快楽に変換する
・魔女の事が好きで好きで堪らない、四六時中触れていたいし咬んでいたい
・生物と同様血は流れているが体温は限りなく低い
▼サンプルロル
貴様らは何も解っていない。彼女は只、“よく頑張ったね”と認められたいだけだ(魔女の孤独で満たされた古城の冷たい空気が、張り上げられた声に凛々と震えた。こんなに大きな声を出したのは何百年振りだろうか。負担に慣れていない喉が悲鳴を上げて微かな痛みを訴えた。ヒトとバケモノの間にある圧倒的な力量差と、吸血鬼の只ならぬ気迫に圧されて、騎士達は次々に逃げ去っていく。自力では立ち上がれないほど負傷した仲間を無視して我先に遠ざかる騎士達の背中を、ぐしゃぐしゃに切り裂いて彼女へ差し出せば、少しはその憂鬱を晴らすことが出来るのだろうか。――否、そんな筈はない。気も遠くなる悠久の時を、哀しみと孤独と共に歩んだ彼女の懊悩を、癒してやれるのは己の毒牙の他に存在しない。長いマントコートの裾を翻して踵を返せば、貴女の眼前にて片膝を地に付け跪く。恭しく胸に手を添え一礼すれば、久しく感じることのなかった自身の脈動を感じる。それもこれも全て、漸く貴女の前に姿を現し、知覚して貰うことが出来るから。「薔薇より気高く、百合より麗しい魔女よ。どうか俺の愛に応え、俺と共に来い」あまりにも真っ直ぐに底光りする金色の瞳で、真紅の双眸を捉える。やっと時が来た、もう絶対に逃がさない、離さない、苦しみなど与えるものか。独り善がりな吸血鬼の硬すぎる決意は、この視線だけで刺さるほどに伝わってしまうだろう。静かに立ち上がれば、流麗な所作で貴女を捕らえるかのように強く抱き締め、可憐な唇を奪う。数回角度を変えればそっと貴女の耳元に口を寄せ「我が名はアルヴィオン。未来永劫、お前だけを愛すると誓う。俺の毒牙に溺れてくれ、愛しの花嫁よ」否と言わせないほど強く、それでいて囁く様な声音で告げる。背の何処ぞへと隠していた黒い翼をぶわりと広げ、吸血鬼は貴方の返答を待った。天上には月、地上には血飛沫。血の香りに満ちる夜気に、貴女を攫う準備は整った)
トピック検索 |