アルヴィオン 2019-03-26 02:55:08 |
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(自嘲するように彼の口元が歪むのをどこかスローモーションのように感じながら見つめていれば、伸ばされた指先が首筋を這い、それがくすぐったくて思わず肩を揺らす。いつもならば服で隠れている場所だから落ち着かないのかもしれない。そんな事を思っていると、どういった原理なのかは分からないながらも、すっかり金から紅へと色を変えた瞳は、先ほどまでとは打って変わってひたすらに真っ直ぐ此方を向いていた。見つめ合う事暫し。そこには先ほどまでの、離れてもいいかと問い、衝動を抑えるように、あるいは恐れるように険しい表情をしていた彼の姿は無い。そのことに安心したように息を吐けば、不安げだった表情から目尻を下げて淡く微笑み、確かめるかのような言葉に一つ頷いてみせて「――どうか、あなたが望むままに」まるで全てを赦すかのような言葉。しかしそれもそのはず。紡がれたのは彼の全てに対する赦しに相違なく、またそれが魔女の全てでもあった。我慢なんてしなくてもいい、欲しいのなら求めて欲しい。だってそうでないと、わたしがここにに居る意味が無くなってしまう。あの日芽生えた恋心をきっかけに、その恋の、そして愛のため。彼のためだけに生きると、そう決めたのだから。顎へと添えられた手に導かれるように瞼を下ろし、そっと唇を触れ合わせる。感じるのはこの上ない安心感と、それを失うかもしれなかった恐怖。もう悪い事なんてなんにも無いはずなのに、何故だか泣きたいような気持ちになった。しかしそんな感傷も、ぐいと強く腰を引かれた事で全て霧散する。既に身を寄せ合っていたものだから、彼の肩と胸元に左右の手を添えるような形で顔を上へと向けると、自然とのけ反って首筋を晒す体勢となる。何かを口にするよりも早く、首筋へと吐息が触れ、牙が触れ、当然のように襲い来るはずの痛みに耐えるようにぎゅっと目を閉じる――が、しかし「――っ、あ……なんで、これ…っ」予想に反して痛みはいつまでもやってこず、代わりに感じるのは脳髄まで突き抜けるような強烈な快楽。真紅の瞳を零れ落ちんばかりに見開いて口を開くも、意味のある言葉を紡げていたのも最初だけ。大きく身体を震わせ、未だかつて感じた事の無いような快楽に堪えるように表情を歪めれば、声が零れてしまわないようにと強く唇を引き結んで。鋭い牙がつぷりと皮膚を突き破るのも、開いた傷口から血を啜られるのも堪らなく気持ちがいい。それこそ本来存在するはずの痛みが全て快楽へと置き換わってしまっているかのようで、慣れない感覚にすっかり脚は震えて身体には力が入らず、かくんと膝から崩れ落ちそうになり)
(/まずはご連絡もできずに返信が遅くなってしまったこと、大変申し訳ありませんでした。言い訳にしかなりませんが、背後が想像以上に立て込んでしまい、長らくお返事ができない状態となってしまいました。
レスペースを守れなかった身で差し出がましく、また身勝手にも程があると思うのですが、お相手様の世界観や息子様、そして綴られる台詞や文章が大好きであるため、可能であれば今後もお相手を続けさせていただきたいと考えております。ご不快にさせてしまっていたら申し訳ないのですが、どうかご一考いただけないでしょうか。)
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