アルヴィオン 2019-03-26 02:55:08 |
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(夜風に震える身体はあっと言う間に彼の腕の中へと収まり、冷たい風も今は耳元を吹き抜けるばかりとなった。身を包む彼の温度にそこはかとない安心感を覚えつつも、一瞬の悪夢によって涙が滲んだままの瞳で見上げていれば、そっと唇が寄せられたため反射的に目を瞑る。目尻から今にも零れ落ちそうだった雫が舐めとられ、再び目を開けば、瞳に映ったのは左右で色の異なる瞳。きょとんとした表情で数度瞬いては、その色彩の美しさに見惚れるように、暫し時を忘れてただじぃっと視線を向けいた。しかし困り顔から何かを耐えるような表情になった彼の口から紡がれた言葉によって、不意に時間は動き出し「それで、なの…?」この城で生活し始めてからずっと気になっていた事。吸血鬼である彼は生物の血を必要とするはずなのに、その姿を目にしたことは一度も無かった。彼のものとなった自分がその役目を承るのだと信じて疑わなかったものだから、疑問はどんどんと大きくなるばかり。もしかしたら知らないところで、知らない誰かに触れているのではないかと、そんな嫌な想像をしてしまうまでにそう時間はかからなかった。故に服装を一新するという自身にしては思い切った行動に出たのだが、今の彼の言葉はその全てを覆すに余りあって。恐れを告げるのとは裏腹に腰に回された腕の力が強くなるのを感じ、それに背中を押されるように口を開いて「わたしは……あなたが隣に居ないと寒いし、わたしのこと要らなくなったのかなって思って、怖いの…」だから。だからどうか、離れるなんて言わないで欲しい。いつだって傍に居て欲しい。眉を下げて切なげな表情で想いを伝えるようにそう訴えれば、片手をおずおずと彼の頬に伸ばしてそっと指先を触れさせる。それから輪郭を辿るように撫で下ろし、そのまま横へと滑らせて唇へと指を這わせ「あなたはわたしを殺してしまう事が怖いと言うけれど……わたし、そんなに柔じゃないのよ?」寝室で告げたのと同じような言葉をもう一度、今度は彼の恐怖を拭うために、煽るよりも諭すように。これでも悠久の時を生き、様々な魔法を知る魔女なのだから。例え彼が正体を失ってしまったとしても、彼の望まない結末を迎えないようにすることはできる。だから我慢なんてしなくていいのだと、して欲しくないのだと伝わるようにと願って「だからね、大丈夫よ。――それとも、やっぱりわたしに触れるのは…いや?怖い?」安心させるように微笑んだ表情は穏やかではあるが、隠し切れない不安を滲ませている。縋るような色を浮かべた揺れる瞳で見上げれば、じっと彼の返事を待ち)
(/お返事が遅くなってしまったので修理が完了している頃合いかとは思いますが、承知いたしました。スマホからとは思えない文章に驚愕しております…!
また、当方のレス頻度についてなのですが、4月は平日のお返事が難しい状況となってしまいます。開始早々で大変申し訳ないのですが…募集要項の最低限ペースとなってしまうこと、お含みおきくださいますと幸いです。)
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