通り人 2019-03-25 11:25:45 |
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──。五月蝿い、喚くな。
( やけに静かなのは覚悟して故か、にしても面白い。大人しい奴かとも思ったら命を奪えと喚いている。聞いているのか聞いていないのか、聞き流している様な素振りで近くにあった棚を物色し何か着るものはないかと適当に見ていたが、喚くその声がまるで犬のようで煩くて適わなく、小さく舌打ちを零しては適当に持ち出した服を相手の方に放り投げながら相手の元へ近寄り片膝を着いてしゃがみ込むと同時に冷たく、大きな左手を伸ばしては口元を覆い隠すかのように頬を鷲掴みにしては壁にどん、と鈍い音を立てながら押さえ付け何処か憤怒の色も伺える声色で告げて殺れば眉間へ深く皺を寄せ。勢いが凄い所為か、僅かに濡れた髪が揺れ雫が頬を伝う、普通の人より特価した力故かミシミシ、と手に力が篭もり骨が軋む音が微かに聞こえるも癪に触ったようで右手で腰から刀を抜き )
何も知らない子供が……そんなに命が惜しくないのならば、最も惨い死に方をさせてやる。
( 刀の刃を相手の首元にぐ、と押し付け怒気とどこか愁いを含んだその声で告げた内容は言わば半殺し。生きる事も楽に死ぬ事も許されずただ苦しみにもがき苦しみ乍死を待つのみ )
選べ──、這い蹲ってでも生きるか、ここに取り残され苦しみながら死ぬか。
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